今回は「落ち着ける」レベルがどこか、という話をします。もちろん、どの本をやったからどの大学に絶対受かるとかいう保証は出来ませんが、大学・学部がその出題傾向・レベルに即した出題を続けると仮定した場合の大まかな基準と考えて下さい。
今回のお話をするにあたって、筆者は皆さんの到達レベルの目安として次の4つを考えました。この中で模試などを受けた感触が大きく変わってくるのがおそらく2と4のはずです。
1:教科書の基本事項がとりあえず身についたかどうか
2:入試の基礎・センターの序盤の問題に即答できるかどうか
3:入試の標準問題に(分野を問わず)手が出るかどうか
4:入試の標準問題の答案をしっかり作れるかどうか
まず2は、学校の授業をしっかり受けて定期テスト対策と復習まできちっとしておけば自然と達成されるものです。ところが、ここでつまずいている生徒さんが多いのは、授業をしっかり受けていない(もしくは授業レベルと皆さんの状況に開きがある)、定期テストの対策もしくは復習が不十分である、などの原因があるものと考えられます。
ただ、高3生・卒業生の皆さんには今から言っても仕方ありませんから、それに代わるものを考えましょう。おすすめなのは、過去の記事「数学参考書基本ライン」(→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/202.html)でいえば【基礎】か【確認】レベルのもの、中でも
○「カルキュール[基礎力・計算力アップ問題集]」(駿台文庫)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/45.html
# 教科書本文〜節末レベル
○「勝てる!センター試験 数学」(文英堂)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/256.html
# センター試験を受ける人向け、7割得点レベル
○「Z会数学基礎問題集 チェック&リピート」(Z会出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/142.html
# 私大中心に受ける人向け、小問即答レベル
などは、分量的にもレベル的にもこれから受験勉強を始める人たちの当座の力だめしにもってこいです。ただし、これらの本はあくまで「基準」と考えてください。
・・・こういうことです。
まず、力だめしなので、全部の問題を解き終える必要はないですよね。力がついたことが実感でき、次の教材に無理なく取り組める感触を得たら、先に進めばよいのです。逆に、解法はとりあえず理解できるけど答えを見ながら読むだけというのはやめて下さい。基本的な計算だけでもいいから、短時間で出来るようにしっかり練習してください。
同様に、力だめしなので、問題が解けることではなく、基本事項を見直すきっかけにすることに重点をおきましょう。意外とここが出来ていない人が多いようですが、つまずいたところは、手持ちの検定教科書や総合参考書の導入部分を読み直して、次は絶対に解けるようにするという意識でやって欲しいと思います。ここは時間がかかりますが、あせって中途半端な状態で先へ進んでしまうと、難しい問題に入ったときに困ってしまい、結局2度手間になってしまいますから、気をつけてください。
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高1・高2生の皆さんに言っておくと、定期テスト対策の第1歩は、宿題をきっちりやることです。とりあえず理解できるのと、自分で考えて解けるのは別のことで、その差を埋めるものこそが何を隠そう練習だと思うのですが、まずはこの当たり前のことを理解し、そして実践して欲しいと思います。
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さて、1〜2の入試基礎はこれぐらいにして、3〜4の入試標準レベルに話を移したいと思います。
この段階を考えるときは、やはり志望校・学部のランクや出題の難易度を見て決めるのですが、ただ本番と同じレベルの問題に取り組めばよいわけではなく、演習ということを考えると、入試本番と同程度かやや易しめで難易度がそろっており、全分野の問題がまんべんなく収録されているものを選ぶべきだということになります。
筆者の基準で言えば【実戦】レベルのもの、具体的には
○「文系数学の良問プラチカ」数学1・A・2・B(河合出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/120.html
# 国公立文系志望者、難関志望者でも数学を重視しない場合
○「理系数学の良問プラチカ」数学1・A・2・B(河合出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/120.html
# 難関を除く理系の志望者、数学で稼ぎたい難関文系志望者
○「やさしい理系数学」(河合出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/150.html
○「理系標準問題集 数学」(駿台文庫)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/223.html
# 難関理系もしくは中堅理系でも志望数学を得点源としたい場合
などが適するのですが、ここで大事なのは解答の書き方を習得することですから、解答の書き方や解説の内容肌に合うものを選び、ノートもしっかり作るようにしてください。先ほどの場合と同様に、ここで手を抜くと、解けたつもりが思わぬところで減点、の繰り返しで伸び悩むもとになるので注意してください。
また、これらの本にいきなり取り組むのはツライという人には、講義調でこのレベルに必要な発展事項を解説した
○「難関大 理・医系入試の完全攻略」全4冊(文英堂)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/107.html
というシリーズもあるので、こちらも参考にしてもらえたらと思います。