網羅性の高い例題に加え、コラム的内容も充実した発展演習向け総合参考書
「ニューアクションα」(東京書籍)
【評価】※1〜10の10段階評価
総合:8
整数分野をしっかり学習したい人:9
教科書学習のあとの発展演習向け:8
学校で持たされるだけ:4
(07年以降に発売される「改訂版」からは学校採用専用となり、通常のルートでは入手できなくなったようですが、アマゾン等を通じて古本をお探しのかた、すでにお持ちのかたのための情報として書き直しました。てっぺい先生、情報をいただきありがとうございます)
例題数は同じ出版社の基礎レベルの参考書「β」と同程度だが、教科書レベルの確認からかなりレベルの高い問題まで網羅された中〜上級者向け総合参考書。ひと口で言えば「青チャート」(数研出版)の代わりになる参考書の選択肢に是非入れたい本。
例題ページには「ACTION」「POINT」として指針等が紹介されているが、このレベルの参考書にしては短い言葉でスッキリまとめられていて、「解答」部分の紙面に余裕を持たせ見やすく仕上げている。通常、難しい問題になればなるほど指針の説明は長くなり、肝心の解答が詰め詰めになったり省略だらけになったりしやすいのであるが(特に筆者が「レビュー」活動を始めた当初の他書ではそういう本が多かった)、この「α」に限らず「ニューアクション」シリーズは全体を通じて解答の見やすさをメインに考えているようだ。
さらに、08年2月に発行された「U+B」の改訂版では、第8章で「整数」を独立して扱っているが、いわゆる網羅系参考書で整数問題を独立した章として例題入りで扱っている市販の総合参考書は随一ともいえるので(08年12月現在)、整数分野において入試や模試などで狙われやすい内容を体系的に押さえたい人は是非内容をチェックしてみて欲しい。例題として、初歩的な内容からかなり難しい入試問題まで幅広く収録されているが、1つ1つ押さえていけば、整数問題の解法が単なる「ひらめき」の集合でないことが分かり、よほど難しい問題(最難関と呼ばれる大学でも数年に1度出題されるかどうかの問題)でない限り解法のメドが立つようになると思う。
欲を言えば、「β」との差別化をさらに進め、発展学習向けの色合いをもっと濃くしても良いのではという気もするが、全体的にもっと評価されていい本ではないか。
【基礎知識】
「ω」「α」「β」「γ」と4種類ある東京書籍の総合参考書の中で2番目のグレードに位置する。当初、旧課程時代に現「ω」の精選版として発売された本であったが、新課程対応版からは「β」の発展版のような位置づけにシフトしている。例題の下に「練習」「問題」と2段階で取り組める練習問題を付けるスタイルは当初から確立されていて、学習者のレベルに合わせた演習もできる。
他の「ニューアクション」シリーズと同様に、分野別の章に分かれ、各節の最初に「まとめ」と教科書本文レベルの問題を扱った「Quick Check」がある。例題は題字が赤(教科書学習と並行して学ぶべきもの)と黒(教科書学習を終えてから取り組むべきもの)のものの2系統があり、それぞれ1から3までの難易度を示すマークがつく。節末問題にあたる「Let’s Try!」で関連する入試問題を扱い、巻末にさらにレベルの高い問題(他の総合参考書では章末問題にあたるレベルの問題)が「PERFECT MASTER」として収録されている。
さらに、随所に「Play Back」「Go Ahead」として基本事項を見直したり発展事項に触れたりできる1ページ完結のコラム記事がある。「α」では特にこの部分が充実している。章立てでは、「α」のみ08年2月発売のU+B改訂版の最後の章(8章)で「整数」を独立して扱っているのが最大の特徴。V+Cは09年改訂予定。
【リンク】
※08年12月現在、アマゾンから「改訂版 ニューアクションα」(東京書籍)への
リンクが存在しないため、現行「新課程対応版」が最新となっているV+Cのみ
掲載します。