当サイトでは、以前より参考書の評価基準を明確化する試みを行っています。以下は、04年版レビュー以来「評価の見方」として筆者の中では固まっている内容です。
【前提】
当サイトでは、あくまで「自学自習による使用」にスポットを当てた評価を行っています。指導者についている場合、授業等できちんと使えている場合はこの限りではないことを、最初にお断りしておきます。
【レベル設定】
「入門」検定教科書の本文・問・練習レベル(もしくはそれ以前の予備知識的な部分)
「基礎」検定教科書の例題・節末・章末および傍用問題集レベル
「確認」教科書レベル〜入試基礎レベルまでの確認・復習
「応用」入試基礎から入試標準への橋渡し、もしくは基本事項をより深く学ぶ人用
「実戦」入試標準レベルまでの演習・定着用、もしくは発展的事項まで学ぶ人用
「難関」主に理系の入試標準レベル〜難問の対策用
【総合評価】【用途別評価】・・・1〜10の10段階評価
「10」ベスト参考書。分野別を除き、同レベルの中で高々1冊にのみ与えられる
「9」 絶対おすすめ。内容・構成に工夫が見られるのはもちろん、独自性にも富む
「8」 特におすすめ。使用者のことを考えた工夫が内容・構成両面に見られる
「7」 おすすめ。しばらく使うだけの価値はあるので、なるべく早めに見てみよう
「6」 どちらかというとおすすめ。気に入った人は使ってみても良いだろう
「5」 特におすすめではないが、すでに問題なく使えているなら続けて良い
「4」 自学自習では使いにくいが、指導者のもとで使うのであれば問題ない
「3」 何もやらないよりはマシ程度。他に良い本が見つかったらそちらを使おう
「2」 ただちに使用をやめ他の本を探すこと。この本を薦める人は信用できない
「1」 売ること自体が犯罪では?
過去のレビューでは、用途別評価での最高の部分をもとに、以下のような総合評価もつけていました。「秀」(最高9以上)/「優」(最高8以上)/「良」(最高6以上)/「可」(最高4以上)/「滅」(最高3以下)
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・・・そもそも何故このような評価基準を考えたかというと、世間でよく行われている評価方法に若干の不満があったからです。単に1〜5までの数字をつけなさいと言われた場合、人によってその幅や基準にする点数はまちまちになってしまいます。そこで、少なくとも筆者のレビューに限っては、これを単なる点数づけにとどめず、たとえば
$「この本は、筆者の中にある基準をすべて満たしているとは言い難いが、
$ 使い方にこういう条件をつけたら不便はなくなる」
といった明確なメッセージ付けをしたかったからです。以前に筆者が主催した「数学参考書レビュー大会」に参加したメンバーで話し合った際、詳細は忘れてしまいましたが、概ね次のように我々は考えました。
・・・
最初に、自学自習で普通に使える本は「7」にしよう。自学自習に使える本の中で、さらにその中でもこれが良い、とおすすめできる前向きな理由があるものを「8」以上に位置づけ、独自性により高く評価する。そのうえで、「6」は、とりあえず今使えている人がわざわざ他の本を使うよりは使い続けた方が効率がよくなるものと考えよう。
「5」以下には、できれば相応に力のある指導者(もしくはその学習者に近い学習意欲をもった友人)のいる環境で使うべき本。「4」はその中でもギリギリのクオリティということにする。「3」以下は、もし我々が見つけたら使用をやめさせたい本だろう。もちろん「8」以上の類書があれば真っ先にそれに替えてもらう。あとは、内容に対する怒りの強さに応じて低く評価する(苦笑)
・・・
筆者、特にこの10段階評価に関しては特別な愛着を抱いており、これ以上明確かつ学習者にとって有用な線引きはないと考えています。また、それ以前にいくつに区切るかという点でも、これより細かすぎてもいけないし、逆に粗すぎてもいけないと考えます。ただ、当サイトにおける「徒然レビュー」のように最終結論ではない雑感を書くぶんには、大雑把な分類として「優」「良」「可」「滅(不可)」の4段階を用いることをお許しいただければと思っています。
【余談】
特に他教科で当サイトと同様の参考書レビューサイトを作られている皆さんで、当記事の評価基準を気に入っていただけたら、そちらでも同じ基準で記事を作成していただき、その旨当方にもご一報いただけたら大変嬉しいです。
