※今回は、受験生をお持ちの保護者さんからのご質問にお答えしております。
□大石隆さんからのご質問
はじめまして。長男が神奈川の中高一貫校に通っており(数十人が東大に入るところです)、国公立の文系学部を志望しています。もう高校生だからと放っておいたのですが、マイペースですぐに趣味に走ってしまう性格で、成績も下降の一途をただおっており、もはや最低ランクまで落ちてしまいました。私自身、駿台で1浪して京大にはいりましたが、当時の友だち、その後社会人になってから知り合った難関国立大学卒業生と比較して息子の知的レベルは十分難関国立大のレベルにあると思います。正直なところ、物事を客観的にかつ批判的に見る能力は極めて高く、高校生当時の私とは比較にならないほどだと思っています。一方で、勉強を要領よくやることに関しての器用さは持ち合わせていません。おそらく、1浪すれば(どこでも)なんとかなるだろうとは思いますが、妹が2人いるためその余裕もなく(中学受験の時と同様に)私が尻をたたくことにしました。
現時点では、成績はどの教科も悪いのですが、多読家だったので国語力はそこそこあります(成績も一番マシです)。実際、(新小6からの1年間でなんとかなった)中学受験も国語を核に勉強の計画を立てました。興味の範囲も広く無駄な知識も多いので、本人がやる気にさえなれば国語はそこそこ伸びていくと信じています。英語も同様にいずれなんとかなると踏んでいます。
主要教科の中でもっとも対策がつかみにくいのが数学です。現在は、授業で使っている「体系数学」(数研出版)の問題集「体系問題集」のみをやらせています。あれこれやるより何かの教材を何度もやるのがいいような気がしており、この体系数学の復習をまずはやらせようと思っています。現在、期末テストの準備中ですがはじめていますが、いつもは一通りこなすのもやっとというところですが、今回は「今回、平均点を取れなかったら、学校を辞めさせる」と脅すとともに、7回まで復習するチェック表も作成してやらせることで、なんとか複数回復習するスタイルを身につけつつあります。
期末テスト後、高校2年の授業が始まる前までになんとか基礎力を身につけさせたいと思っています。当面は、国立大学(文系)数学の範囲となる数学T・数学A、数学U・数学Bをカバーする「体系問題集」の3巻・4巻を網羅的にやり直させようと思っています。少なくとも1回目に間違えた問題は必ずやり直すこと。表を作って確認していく予定です。また、章末問題がきちんと回答できる場合は、必ずしも網羅する必要はないかもと思っています。
さて、「体系数学」と組み合わせる基本教材を何にするかが悩みどころです。また、その教材をどう使うかも。最終的に仕上げるべき参考書・問題集としては、「大学への数学 1対1対応の演習」(東京出版)あたりを考えていますが、そこにつなぐまでどう実力を上げていくかがわかりません。こちらのサイトを拝見したり、他の方の意見なども参照すると「白チャート」(数研出版)あるいは「高校これでわかる数学」(文英堂)を複数回やらせるのがよさそうですが、いかがでしょうか?
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□大石隆さんへの回答
熱意と危機感に溢れた書き込みを有難うございました。尋常でない反復回数に加え、自己評価を書かせるといったあまりの管理の徹底ぶりに、言葉を失ってしまいましたが(汗)、世の保護者さんが皆大石さんのような方ばかりであれば日本も安泰ですよね。保護者さんと生徒さんとの信頼関係が大事になってきますが、そこはそちらにお任せします。筆者は自分なりに最適と思われる教材・使い方を提案致しますが、自身そこまで徹底して反復練習したことも管理されたこともない身ですので、何卒ご了承ください。
何よりもまず、数学は努力した成果が表れるまでに時間を要する科目なので、目先の結果にとらわれず、継続してやっていく必要があります。もちろんちょっとしたことで見方が変わり、今まで解けなかった問題がいろいろいっぺんに解けるようになったりすることもあるのですが、そこまで努力しつづけなければそういった幸運(?)には出会えないわけで、そこが易きに流れやすい昨今の生徒さんには大変難しいところです。保護者さんの立場から見ればなおさらでして、対策がつかみにくいとおっしゃられているのにもうなずけるのですが・・・
そろそろ本論に入りますが、文系志望で今まであまり数学を真面目に学習してこなかったということであれば、特に来年度(高2)の間に、教科書レベル(生徒さんの場合は「体系数学」が教科書に相当します)や傍用問題集レベル(教科書と一緒に使う問題集)の知識の抜けを可能な限りなくしておかなくてはいけません。ご質問の中にある
○「白チャート」(数研出版)
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は、センターレベルの入口ぐらいまでが中心ですが、無理に難しいものに手を出さなくても、このシリーズ程度でもすみずみまでやれば、かなりの問題・解法に触れることができます。その際、出来ればただ問題を解くだけでなく、「白チャート」は基本事項の導入部分や反復練習コーナー等が大変充実しているので、こういった部分も有効活用していただきたいです。学校の授業(の今まで聞き逃したところや忘れているところ)を思い出し、アドバイスをもらう代わりにすることを意識するわけです。
そのうえで、来年度の後半から高3の初めぐらいまでかかっても構いませんが、もう少し上のレベルの問題の演習量を増やしたいところです。徹底した反復と言えば筆者は
○「Z会数学基礎問題集 チェック&リピート」改訂版(Z会出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/142.html
を思い浮かべます。センター・私大の問題や、国公立でも難関を除いた大学の問題が中心で、分量もやや多く問題の難易度にもややバラつきがありますが、このシリーズだけでもしっかりやれば(8割以上の問題を、短い時間で解けるようになれば)、少なくとも数学で足を引っ張ることはなくなり、過去問演習前の到達点として考えられている「1対1対応の演習」へもスムーズに入っていけるはずです。が、12年12月現在、残念ながら新課程には対応していません。T・A・U・Bをひととおり学習したあとであれば気にならないと思いますが、一部の問題(例えば「二項定理」など)が教科書で言うT・A・U・Bの区切りと違うところに掲載されていたりもします。ただ、入試対策用問題集に手を出されるのは当分先のことになりますから、まずは今できることを続けてもらい、その進み具合と新刊の揃い具合を眺めながら判断されても良いと思われます。
あと、筆者個人の考えを言えば、学習には段階というかメリハリのようなものが必要で、ある段階ではとことん反復して完璧にすることを重視すべきだが、別の段階に入ると今度は復習云々よりもいかに解法のポイントをつかむか、自分の結果(書いた答案がどう評価されたかなど)を分析する、あえて基本事項に戻るなどといったところを意識していった方が良いこともあります。もっとも、そのあたりはうるさく言わなくとも分析力のある生徒さんであれば、時期が来れば自分で考えて乗り越えていかれるでしょう。
