□大池さんからのご質問 ※筆者にてご質問のポイントを抜粋しています
はじめまして、現在海外の高校に通っている日本だと高校2年生の私立医学部志望、大池ともうします。海外の高校は夏始まりなので半年卒業がずれるのが普通なのですが、自分はEarly graduateという制度を使い、日本の高校3年生と同じ時期に卒業する予定です。海外にいるためなかなか独学が難しく、海外の高校には珍しいかなり厳しい高校で時間もあまり取れないため(今年は、卒論、哲学の卒論、半年早く卒業するためにすること等々があり更に大変になります)、独学でもまだ学習しやすいセンター試験に的を絞り、私大医学部をセンター試験利用と考え高校1年生の頃からこつこつと対策をして来ました。
一昨年、去年と「センター力UP!はじめからわかる数学T・A・U・B」(学研)→「勝てる!センター試験」数学T・A/U・B(文英堂)→・・・とやってきて、T・Aなら悪くても9割以上、U・Bでも85〜95点くらいが安定して取れるようになっていたのですが、今年のセンター数学を解いて愕然、両方とも7割ぐらいしか取れませんでした。2次対策をやっていた人達は解けていたようなのですが、自分はセンター特化で勉強していたため、解き慣れていないか、そもそも存在を知らない問題などが出てきてどうしていいかわからなかったです。私大医学部のセンター利用は、英語、数学T・A・U・B、理科2科目、現代文、合わせて700点、9割取れればまず合格というのが多く、自分なりに計算をしていたのですが、今回の数学の難化によって、完全にそれが崩れてしまい、ショックを受けています。T・AとU・B合わせて9割、最悪でも170点ぐらいはどうしても欲しいです。
この結果を見て一般入試での受験に切り替えようかなと考えたのですが、今の学校で勉強をしながらの対策で、数学V・C、理科2科目のUの分野は未修、かつ小論文対策もしなくてはならず、得策ではありません。推薦、帰国子女枠も医学部では少なく、やはりセンター利用がまだ一番現実的だと思います。センター数学の傾向が変わり来年も変わるかもしれない中、何をすればいいのかわからなくなりましたのでこれからのことをお聞きしたくご質問させて頂きました。
学校関連の忙しさ、英語の代わりに日々全く触れない現代文対策に力を入れなければいけないため、数学に取れる時間は多くても1日1〜2時間くらいで、まったく取れない日もあると思います。なので、チャート式みたなのは分量的にかなりきついです。現在一時帰国中で2月の頭位に海外の方に戻るので、教科書も持っていないため、何か参考書や問題集を買って行きたいのですが何がよろしいでしょうか。今数研の「2011数学T・U・A・B入試問題集文理系」(数研出版)だけは手元には無いですが持っています。問題数がちょうど良さそうという理由だけで以前適当に買ってまだやっていないのですが・・・この本はどうでしょうか。また、通信添削のセンター演習コースなら海外でも受講できるので、それも良いかなと考えていますが、今年のセンター試験の傾向を見て、それを反映した内容になるかどうか疑問にも感じています。
8月くらいには日本に帰ってくる予定ですが、忙しさの度合いによって来年の1月まで戻ってこれない可能性もあります。来年落ちた場合は、予備校に通うつもりなので、今年1年に限ってセンター特化の勉強をしたいと思っています。かなり特殊なケースだと思いますが、よろしくお願いします。
=====【PR】=====
『参考書・問題集・赤本の買取を専門に行う古本屋、学参ブックス』
当店では、学習参考書や各種予備校のテキスト、教材など受験に関する中古商品の買取を専門に行っています。
今月受験も無事終わって、来月から晴れて大学生という皆様。塾、予備校の経営者、講師のかた。または学校の先生がた。
専門店だからこそ、他の古本屋、ブックオフ等では買取を行っていない(値段のつかない)予備校のテキストや古い赤本なども大切に査定し、幅広く買取させていただきます。
$「学参ブックス」
$ →
http://www.bookbank.jp/gakusan/
=====
□大池さんへの回答
大池さんのような方からのご質問にこそ、お答えするのが筆者のつとめと思っています。海外の高校での様子など、数学以外の状況が分からない中での回答となりますが、どうかご容赦ください。
最初に注意しておきますが、今日本の高校では「新課程」といいまして、12年以降に高校に入学した生徒さん向けの参考書・問題集が、現課程のもの(大池さんが使うのはこちら。当サイトでは現在このように呼んでいます)に混じって発売されています。新課程の入試対策用の本はまだほとんど出ていませんが、チャート式など教科書学習と並行して使われる本を中心に、新課程版と現課程版の両方が売られています。巻末などにある発行年月日などを確認のうえ、買うようにしましょう。こんにち、日本の書籍はアマゾン等でも購入できますが、内容を見ながら買えるわけではないのと、前述の新課程のカラミがありますので、最後の手段と考えてください。よろしくお願いします。
さて、具体的に何を買うかですが、まずは日本の高校数学の教科書をお持ちでないようなので、その代わりとして少々分厚いですが
○「理解しやすい数学」シリーズ(文英堂)
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/918.html
を買って行かれることをおすすめします。似た本をすでにお持ちならそれでも結構ですが、基本事項・周辺事項の導入の丁寧さ・詳しさと、紙面の見た目を含めた読みやすさのバランスを考えて、今回のケースではこれがベストだと判断しました。ただ、センター特化ということでもありますし、載っている問題をすべて解くという使い方でなく、辞書的な使い方をして下さい。つまり、ベースとなる問題集は他に用意して、出てきた事項(今年のセンターで出題された中で言えば平面図形の円の性質や数学的帰納法など)、知らないタイプの問題の解法を調べたり、そこだけ基本的な例題から確認したりします。
次にベースとなる問題集ですが、センター対策をメインに、将来的には私大独特のややひねった問題にも対応できるようにとなると、
○「Z会数学基礎問題集 チェック&リピート」シリーズ(Z会出版)
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/142.html
○「解決!センター」数学T・A/U・B(Z会出版)
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/292.html
あたりが浮かびます。前者だけでも全部こなすのは難しいですが、数学T・A・U・Bまで、かつ今からという条件なら大丈夫でしょう。もし向こうでの生活が忙しくなり、この分量でも厳しいということになれば、問題が小テーマに分けられてタイトルがついていますから、全てのテーマから1題(できれば2題)ずつは解くというふうに進めていって、早めに全体像をつかむようにするとよいでしょう。後者は「勝てる!」(文英堂)と同じような内容・構成ですが、これまでに解いていない問題に触れつつ演習量を補うための予備と考えてください。もし、欲張らない、かつ通信添削を受講されるということであれば、教科書代わりの本と「チェック〜」だけとりあえず手元に置いておかれるとよいでしょう。
最後に、通信添削として考えられているというのはZ会でしょうか。それでしたら、是非受講されることをオススメします。筆者も現物を見てはおりませんが、センター試験の本番よりやや難しめの問題や、2次試験にもつながるレベルの問題に触れることができるはずですから、空いた時間をうまく利用し、とりあえず時間や締め切りは度外視でもよいので解いてみて下さい。そのうえで、もし余力があれば、復習の際は是非時間を計って挑戦してみましょう。
それでは1年後、良い結果を知らせてくださるのを楽しみにお待ちしています。もし何かあれば、次は夏ごろが良いと思いますが、またこちらで質問されるとよいでしょう。どうか頑張って下さい。
※げせさんからご指摘のありました箇所を訂正しました
