□悩める浪人生さんからのご質問
旧帝大(名古屋または北海道)の農学部を志望している浪人生です。英語は得意科目で河合塾の模試で偏差値が65を超えるものの数学は現役時代から足を引っ張り、浪人した現在でも記述模試で50を切る状況です。
数学は「基礎ができていない」と言われていましたので、勉強には力を入れ、高校の「黄チャート」(数研出版)は何度もやり(答えは覚えています)高校3年時の4〜8月に「チェック&リピート」数学T・A/U・B(Z会出版)を3周したり、 夏には「本質の解法」(旺文社)も2周。秋には伸び悩んだので3年分の教科書をやり直し、 センター問題集も解いています。勉強量では負けてはいないと思います。しかし現役時にはセンターでは6割程度で、2次試験では1割程度しかできていないと思います。
基礎ができていないということは認識していますが、では基礎を作るためにどうしたらいいかがわからない状況です。量はしていますし、教科書もやり直しましたので、本当に基本的な問題は解けます。予備校のクラス分けをするような簡単なマークテストは偏差値55位にはできるのです。応用につながるような深い基礎ができていないのだと思います。
暗記は得意ですぐに問題を覚えてしまうので、その勉強法が悪いとも考え、今は、予習に時間をかけ考えてから、授業に臨んでいますが、それでも数学の授業に充分ついて行っていないと思いますし、成績も上がりません。 そこで、先生のサイトを拝見して、少しでも思考力を高める本ということで、以下の本をリストアップしました。
$ 1:「くらべてつながてまとめる数学」(文英堂)
$ 2:「難関大突破 数学の底力」(学研)
$ 3:「世界一わかりやすい数学の授業」(中経出版)
これらのような本が僕には合っているのでしょうか? それとも、もう一度「黄チャート」や「シグマトライ」(文英堂)のようなものをやり直した方がいいのでしょうか?あるサイトでは、例題だけでなく「類題」を解く、また、テーマ別の参考書(「奥平偵の数学頻出テーマ」等)をつかうという手もあるとかいていますが、いかがでしょうか。 お忙しい中、申し訳ありませんが、ご意見をお聞かせいただけると助かります。
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□悩める浪人生さんへの回答
基礎に不安があったからだと思いますが、「黄チャート」レベルから抜け出せないがために、同タイプの本にあちこち手を出しているのが気になりました。「本質の解法」「シグマトライ」などがそうですが、別に「黄チャート」が肌に合わなかったわけではないようですし、結局は同じような内容を繰り返すだけで、入試レベルへの橋渡しが出来なかったのだと思います。ただ、13年のセンター試験は、数学に苦手意識を感じる人にとっては特に難しく感じられたようで、(希望的観測もありますが)今後同じ出題傾向が続くという確信がなければ気にしなくても結構です。
さて、具体的に何をするかですが、入試独特の出題の仕方に慣れる必要があるので、「黄チャート」より若干レベルの高い事項・問題・解法がそろっていて、分量も多すぎない
○「奥平禎の理系数学頻出テーマを攻略する本」T・A・U・B50テーマ/V・C40テーマ(中経出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/394.html
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/624.html
○「理系数学 入試の核心」標準編(Z会出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/141.html
のような本を使って、今までイマイチ手が出なかったであろう内容を全体的に押さえましょう。前者は導入書的な内容で、教科書学習時には身に付きづらい事項・問題を、講義調を交えて分かりやすく解説しています。後者は力試し的に使える問題集です。書店で実際に見比べてみて、前者の問題の解法が大体理解できるなら、このレベルはササッと問題演習だけにして、ちょうど良さそうなら両方やっても構わないので、時間をかけてこのレベルをものにして下さい。時期的なメドですが、大体夏休み中か、明けの9月半ばまでぐらいと考えましょう。
逆に、まったく出来そうにないという場合は、T・A・U・Bはセンター対策本などを用いてもうしばらく基礎の復習を心がけます。センター試験がない(よって、センター対策本というものがそもそも存在しない)V・Cに関しては、「計算」がしっかり出来るようになるだけでもかなり入試レベルに近づきますから、計算を通じて基本事項および周辺事項(特に数学Uの三角関数や指数・対数関数あたり)を見直せる
○「合格る(うかる)計算」数学V・C(文英堂)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/877.html
のような本を期間限定で使うことをおすすめしておきます。ただし、この本に載っている問題をすべて解こうとすると、他の学習にも影響してしまうので、苦手な部分(例えば積分計算)に絞るとか、ポイントが理解できたと感じたらすぐに次のページに進むとかいったように、使い方を工夫してみて下さい。
参考までに、「くらべて〜」と「底力」は筆者も好きな本ですが、全分野をカバーしていません。もし気に入れば、「奥平〜」と並行して気になったところを拾い読みするように取り組む程度の位置づけになるでしょう。「世界一わかりやすい〜」は、高校数学全体にわたって基本事項を解説していく本で、どちらかというと大学生・社会人が主対象になっています(いわゆる「学び直しブーム」に乗った本といえるでしょう)。基本事項をザッと見直すには向いた本なので、どうしても教科書レベルの事項が気になるなら、期間を限定して読み物的に使うようにしましょう。
