□二十人衆さんからのご質問 ※筆者にてポイントのみ抜粋しています
現在高校2年生の二十人衆と申します。最初に、この名前の由来を説明させて下さい。
うちの高校は、上位にはセンター9割狙いで医学部に行くような人たちもいますが、ほぼ全員が推薦で大学に進学します。なので、高校も推薦を中心の指導で、部活動への強制参加、ボランティア参加など結構勉強とは違った忙しさもあります。私自身は理系に属しており、国公立・私立を問わず医学部の推薦利用を考えています。自分たちは新課程での入試に切り替わることもあって、これからどのように学習を進めていったらいいか知りたいのですが、高校の指導方針が今までと大差ないようなので、今学期の初めに友人たちとどうしようか話していたところ、センター9割狙いの生徒が20人ぐらいワラワラと集まってきて議論になった、というわけです。
今、それぞれのメンバーが、学校の先生や家庭教師、塾の先生、他校の生徒などから学習法に関する情報を集め、しばらくしたら全員でまた話し合うことになっています。私も、水野先生から聞いたことを皆に話すつもりです。現在のところ、メンバーのほぼ全員が、うちの高校の伝統にのっとり、苦手分野を中心に教科書や「白チャート」(数研出版)を学習したあと「基礎問題精講」(旺文社)に取り組んでいます。(私自身はU・Bを1周ました)。これから、「チェック&リピート」(Z会出版)に取り組み、なるべく早い時期に完璧にしたいと思っています。
主に知りたいのは高校3年生になってからの学習の進め方です。13年度のセンター試験の傾向がかなり変わったことや、平面図形が選択分野になったことなどが気になっています。
理系組を中心に、基本的に文系科目の失点を数学や理科でカバーするため、「標準問題精講」(旺文社)や「1対1対応の演習」(東京出版)などのもっと難しい参考書や問題集を解いて現在のセンター試験のレベルを超えた力を身につけるべきだと言っている人もいます。が、新課程初年度だから問題は簡単になるはずだという予想のもと、「基礎問題精講」や「チェック〜」をとにかくやりこんでから分野別のマーク式問題集などに進めばいいという人もいます。Z会の通信添削を利用するべきだという意見もありました。ちなみに私自身は後者の意見(「チェック〜」レベルを完璧にする)で、必要だと思ったらZ会のセンター講座なども組み合わせれば十分ではないかと思いました。どうでしょうか?
あともう一つ、これは私個人だけの質問なのですが、平面図形(図形の性質)が選択科目になったので、自分は「整数の性質」と「確率分布と統計的な推測」を選んだのでごっそり平面図形(とベクトル)は飛ばしました。これだと数学Uの「図形と方程式」、数学Tの「図形と計量」の一部分野での平面図形との融合問題が解けない可能性があるのですが、センターのみなら飛ばしてしまっても構わないのでしょうか。センター試験が、選択になっている分野を他分野でどう扱うのか、今のところは分からないので、扱いがどうなるのかと悩んでいます。長々とすみませんが、よろしくお願いします。
=====【PR】=====
『参考書・問題集・赤本の買取を専門に行う古本屋、学参ブックス』
当店では、学習参考書や各種予備校のテキスト、教材など受験に関する中古商品の買取を専門に行っています。
今月受験も無事終わって、来月から晴れて大学生という皆様。塾、予備校の経営者、講師のかた。または学校の先生がた。
専門店だからこそ、他の古本屋、ブックオフ等では買取を行っていない(値段のつかない)予備校のテキストや古い赤本なども大切に査定し、幅広く買取させていただきます。
$「学参ブックス」
$ →
http://www.bookbank.jp/gakusan/
=====
□二十人衆さんへの回答
真剣に悩まれているところ、失礼な言い方になるかも知れませんが、筆者はこのご質問を大変興味深く読ませていただきました。筆者自身の通った高校は、私立の中高一貫の進学校でしたが、それから学校の指導者となった現在まで、生徒さんが大人数で学習の進め方について議論するという場に遭遇したことがありませんでしたから・・・。そして、このようなご相談を、筆者に対してしていただき、誠に光栄に思っております。
基本的には、学校の指導とかけ離れたことを独力でやろうとしているわけではありませんし、その範囲内でということなら、少なくとも自学自習に関しては、あまり「この方法!」と決めすぎる必要はないと思います。基本的なところは学校の授業をうまく利用できるという前提ですが、理系・文系に関わらず、数学を重視するかどうかを皆さんひとりひとりが問い直しつつ、納得できる方法を見つけることが大事です。理系といっても、入学後も数学を使うであろう理工系の志望者と、全教科バランスよく学習して、標準問題でのミスをなくしたい医薬系の志望者とでは、数学(受験のための、ということですが)の学習に対する姿勢が異なってきて当然です。
具体的に何をするかですが、まずはセンター数学の出題範囲やレベルにこだわらず、2次レベルまで通用する学習をして、数学を得点源にしたい人の場合。おっしゃるとおり、「数学標準問題精講」(旺文社)や「1対1対応の演習」(東京出版)などの演習書に、余力の範囲で取り組みましょう。一応、筆者のおすすめも示しておくと、T・A・U・Bまでということなら
○「大学入試頻出定型問題 数学T+A(/U+B)の完全マスター」(文英堂)
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/1700.html
という、入試の基礎〜標準レベルの網羅性の高いシリーズがあるので、特に「1対1」ぐらいひねられると手が出にくいという人は、選択肢に入れて下さい。
次に、とにかく普通に考えられるセンター数学のレベルに特化する場合。過去問だけだとすぐにネタが尽きてしまうのですが、(筆者注:以下の部分は後日訂正しております)高得点狙いであれば、「チェック&リピート」も使えば十分な演習量になります。が、「基礎問題精講」だけだと少々足りない気がします。演習量を補うための本としては
○「解決!センター」数学T・A/U・B(Z会出版)
→
http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/292.html
が真っ先に浮かびますが、「改訂第4版」は新課程対応版ではないので、次の版を待ちましょう。いずれにせよ、このあたりを軸にしつつ、模試を積極的に受ける、Z会の通信添削を利用するなど、上乗せを考えていきましょう。
いずれにせよ、基本(教科書+傍用問題集または「基礎問題精講」までのレベル)をおろそかにしたまま、いたずらに高レベルの教材に手を出すべきではありません。今後しばらくの学習の進み具合も見ながら、メンバー全員でどちらかに統一するか、それとも分かれて進めていくか、話し合われたらよいでしょう。また、追加でいただいた情報のとおり、新課程では理科の負担が増えますから、数学に関しては先輩方が実践してこられた以上に効率を重視した学習の進め方を強いられることでしょう。ですので、どちらの進め方にしようか迷っていらっしゃるなら、とりあえずは後者の進め方でやってみて、ペースがつかめてきたら(かつ成績が伸びてきたら)+αの部分を考えられてはと思いました。
最後に、選択分野に関してでしたね。基本的に、センター試験は数十万人が受けるものですから、「出題範囲外じゃないか?」というクレームはほぼ出ないように問題を作ってくるはずです。全分野が必修になっている数学Tの各分野の内容は、数学U・Bの問題を解くうえで前提となりますが、数学Aは3分野から2分野の選択となっていますから、U・Bの試験に絡めて出ることは、恐らくありません。とにかく、あまり神経質にならない方が賢明です。
