※今回は、受験生をお持ちの保護者さんからのご質問にお答えしております。
□大石隆さんからのご質問
ちょうど1年前にご相談させていただいた大石です。「体系数学」(数研出版)の試験範囲を最大7回反復学習させるというかなり強引なやり方の話から相談をしたものです。
# 筆者注:大石さんは、首都圏の中高一貫の進学校に通われる生徒さんの保護者さんです。
# 前回いただいたご質問とその回答は、こちらにありますのでご参考に願います。
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/1759.html
幸い、前回ご相談させていただいた時の期末テストでほぼ平均点ぐらいをとれたこともあり、やる前から「俺はできない」という負け犬意識だけは払拭できました(英語と異なり、範囲が限定されるので結果が出やすいのが数学のいいところですね)。その後、やや緩みがあったものの、墜落寸前の超低空飛行状態からはなんとか脱したました。
いよいよ大学受験まであと1年と目の前にせまり、勉強嫌いのうちの息子もようやくお尻に火がついたようです。いまは、「白チャート」(数研出版)を網羅的にやらせています。始めたのは8月ですが、1ヶ月ほど前から本格的に取り組ませています(つまり私がチェックをしています)。「問題が解ける」ということ自体が「勉強をするという行動」を強化するレベルには至っていないため、表を作成し、どの問題が解けてどの問題が解けなかったかを一覧できるようにしています。まずは、例題から始めて、できれば他の例題に進み、解けなければExをやらせたり同じ例題を日を開けて解かせたりしています。さらにできるようになれば、Exercisesや試験対策演習までやらせています。この方法で、積分はひと通り1回は解けるようになるまでこなせるようにしたところ、積分が試験範囲だった2学期の期末テストではなんとか文系コースの平均点が取れました。焦って難しい問題集に取り組ませなくてよかったと、先生には本当に感謝しています。
さて、ここからが質問です。まずは、高3になるまでに「白チャート」をひと通りやらせたいと思っており、息子もその方針に納得しているのですが、何度も間違える問題というのがいくつかあります。4回とか5回とかやっても間違える問題というのがある状態は何が問題なのでしょうか?興味を持って取り組めない問題なのでしょうが、それをどう解決したらいいのかが皆目検討がつきません。
この質問を別の角度から質問すると、効果をより実感させやすいという観点で重点的にあるいは先に取り組んだ方がいい単元はあるでしょうか?数Uのテスト範囲だった数列も6割ぐらい、微分も5割ぐらいは進んでいます。他の単元も濃淡はありますが、取り組み始めているものとそうでないものとがあります。順番にはあまりこだわらずにとにかく網羅的に取り組ませることが重要でしょうか?
さらに、積分(&微分)についてはどの国立大を受けるにしても重要な単元と認識しています。今のレベルで、(「白チャート」と並行して)さらに次のステップの教材(例えば前回勧めていただいたチェクリピ)を取り組ませた方がいいでしょうか?それとも、まずは「白チャート」をある程度網羅的にやらせる方を優先した方がいいですか?
よろしくお願いいたします。
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□大石隆さんへの回答
どうも、お久しぶりです。筆者自身も、過去の記事を自分のサイトを見て『復習』させていただいたところですが(汗)、あれ以来、学習の方もとりあえずは順調に進んでいるようで、嬉しく思います。
「白チャート」に限らず、範囲のすみずみまでやり尽くそうとすると、相性が合わないと言いますか、ちょっとした勘違いや理解不足が原因でどうしても解けない問題というのは当然出てきますし、チャートのような本(筆者が言うところの総合/網羅系参考書)になると、「2次方程式の解の配置」に代表される定番問題などは、本のグレード(想定される使用者のレベル)に関係なく収録されることが多いのです。一部どうしても解けない問題が残ってしまうということですが、結論を言えばさほど気にする必要はないと思います。
筆者自身も経験したことですが、少し上のレベルを見たあとで以前つまずいた所をふっと見直すと、そのときは案外すんなり理解できたりといったことがありますから、当面はあまり気にせず、範囲内(当該分野の、いま現在取り組んでいらっしゃる参考書・問題集)の8割程度の問題の解法が理解できるようになったら、残りの部分はとりあえず保留して、先へ進む方が効率もよくなりますし、ストレスを感じることも少なくなるかと思います。
さて、参考書・問題集での収録順にこだわらず、先に仕上げた方がよい分野があればということでしたが、とくにお話をお伺いする限り地頭(じあたま)がよいと思われるご子息の場合、覚えるべき事項が少ない(言い換えれば思考力が問われる)場合の数・確率ではないかと思いました。ひととおりの学習を終えてからが良いと思いますが、
○「短期集中 インテンシブ10」場合の数と確率 標準/発展(Z会出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/533.html
○「ハッとめざめる確率」(東京出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/395.html
といった本で、上のレベルに触れてみられてはどうでしょうか。但し、これらの本の問題をもらさず解けるようになることを目標とはせず、ある種の「きっかけ」作りと考えるべきでしょう。前者の「標準」に収録されている問題は、すべて解けるようになって欲しいですが「発展」にまでそれを求めると、かえって自信を失ってしまいます。また、後者(ハッ確)は、1冊でかなりの分量がありますから、とりあえずは読み物としてひととおり読み通す程度でもかまいません。今後解けない問題に出会ったときにこちらで類題を探して、そのときは解説を熟読して完全に理解するようにします。
最後に、これから(とくに高3の夏休み以降)の学習においては、上のレベルに触れて「ああ、こういう問われ方もするんだ」と知っておくことと、絶対に解けないといけないレベルの足固めをして、全体を底上げすること、この2つを意識して両立させていくことが望ましいと思います。前者に関しては、(具体例を先ほど示しましたが)興味が持てる分野、結果につながりやすい分野などから仕上げていくとよいでしょう。後者は今までの「白チャート」を使った学習の延長になると思われますが、前回にご質問をいただいたときにも示させていただいた
○「Z会数学基礎問題集 チェック&リピート」(Z会出版)
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http://green.ap.teacup.com/reviewermizuno/142.html
を、同様のやり方で進めていかれるとよいでしょう。注意点としましては、このシリーズも一部難しい問題が収録されているので、おおむね8割程度の理解を目安に次のレベル(センター・2次の過去問演習、もしくは同レベルの問題集などの演習)に軸足を移していくこと、逆に、理解のあやしい箇所が見つかった場合などは面倒でも「白チャート」などの導入・解説を読み直して補う(深める)ようにする、少し厳しい言い方になりますが「終える」ことが目的にならないように気をつけることでしょうか。
幸い、学校の授業は良いペースメーカーになっていると思います。高3になると授業の内容もガラッと変わるかと思いますが、そこで変に自信を失ったりすると立て直しに苦労することになるので、その頃をメドに新しい学習スタイルを軌道に乗せられるとよいですね。
