基礎の確認から発展事項・こまかな注意点まで注釈が充実
「良問でわかる高校数学」数TA・UB(学研)
難関大志望者が本格的に過去問演習に取り組む前段階に使うことを念頭において書かれた演習書。豊富な別解に加え、模範解答のあとに、基本事項の確認から関連・発展事項まで幅広い内容の注釈もつく。収録問題は基礎問題33+実戦問題49の計82題で、1問に時間をかけてじっくり取り組みたい人(または用途・時期)向け。著者自ら「はじめに」で明かしているとおり、旧課程時代に発売されていた「難関大突破 精選75問題集」数学TA・UB(学研)をベースに、整数分野などの問題を拡充したと思われる。ちなみに、旧版は基礎問題が25題、実践問題が50題であった。
「基礎問題」では、解説・補足で基本事項の整理をしてくれている箇所が目につく(分かっている内容なら読み飛ばすこと)。「実戦問題」は東大・京大の問題からの収録が多いが、突飛に見える問題は案外少なく、問題文の状況を整理してコツコツ調べ上げさせるタイプが中心に思える。全体に、解くのに手間を要する問題が多いので、できれば余裕のある時期に(もしくは他の学習を効率よく済ませたうえで)使うようにしたい。
著者は駿台予備学校の高橋昇先生。全体にサラッとした書き方をしているので人によってはそっけない印象を受けるかも知れないが、様々な角度から復習のヒントを与えてくれているので、特に本格的な過去問演習の前など、今までに使った本を含めて見直すきっかけと考えるべきであろう。
今回のリニューアルに際して、個人的に気になったのはタイトル(書名)。「良問でわかる高校数学」とだけ聞くと、「黄チャート」の例題を終えたぐらいの人が、ちょっと悩んで解答・解説を読んで納得して膝を打つぐらいのレベル、たとえるなら「青チャート」の重要例題とか「1対1」と同程度を想像してしまう。一応、筆者が購入したときは、帯に「志望大学レベルをワンランク上げたいキミ」「過去問の取り扱い説明書」と銘打たれていたのと、著者名に見覚えがあったので(?)、びっくりしなかったが・・・
【参考】旧課程版「難関大突破 精選75問題集」数学TA・UB(学研)へのリンク
※09年4月10日執筆分「難関大突破 精選〜」の紹介記事をもとに再構成