□一貫校親さんからのご質問
数学が趣味で、10年以上前から時々拝見させていただいておりました。今回初めて質問いたします。子供は中高一貫校の新中1です。高校受験のない一貫校中学生の場合、数学はどのレベルまでやっておくべきかよくわからず、子供にアドバイスできずにおります。
「数学は「体系数学」(数研出版)と「体系問題集」発展(数研出版)を渡されていますが、「体系問題集」の「level A」が完璧ならOKか、あるいはBまで概ね解けるようにしておくほうがよいのか、あるいはCまでか、目標設定について先生のご意見をいただければ幸いに思います。地方の国立大入試で高得点をとれるレベルが目標です。
あともう一点、「しっかり考える」べきか「解法を覚える」べきか、についてもご教示いただければと思います。大学入試まで6年ありますので、「ちょっと考えてすぐに答えをみて覚えて解き直してそれを繰り返す」といった暗記数学に走るべきではないように思いつつ、では1問にどれくらい時間をかけてを粘るべきか、自分として目安がないので困っております。この点についてもご意見をいただけましたら幸いです。
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□一貫校親さんへの回答
なかなかデリケートな問題ですので、最初におことわりしておきますが、以下の回答は、筆者の勤務校での指導方針や勤務校の教育方針と必ずしもイコールではございませんので、ご注意ください。また、当然ながら場面や相手(個人に対して言うのか、全体に対して言うのか)などによって、言い方や伝え方も変わってきますことを、ご了承いただきたいと思います。
まず前半のご質問に対してですが、今のうちから数学を得意科目にしておくのであれば、いわゆる教科書レベルである「A」は当然完璧にすべきでしょう。BとC(および章末の「総合問題」)については、中にはひねった問題、目新しい題材の問題などもありますから、全部の問題を完璧に解こうと躍起になるべきではないと思います。B以降について、特に学校で授業を受けた直後については、少なくとも別冊解答を読めば解法が理解できるという部分に重点を置くと、よいと思います。
積み残した部分を補っていく時期は、たとえば定期テストや実力テストの前になるのか、長期休みの前などに「講習会」などの名で授業内容の復習を学校がしてくれるのであればその時期がそれにあたるのか、など生徒さんや学校によってもさまざまですが、6年間あるのでどこかで取り返す(もしくは「深める」)ことは可能です。学校で授業を受けた直後ですと、概ね問題集の8割の問題の解法が理解できればとりあえずはOK。余力は、残りの2割に費やしすぎると効率が悪くなりますし、何よりモチベーションも下がりますので、むしろ解ける8割をいかに確実にしていくか(いつ問われても解ける、解答時間を意識するなど)に注力して欲しいです。
これとも関連しますが、後半のご質問について、筆者なりの感覚を述べさせていただくと、とにかく教科書に載っている公式・解法については、とにかく覚えて使いこなせるようにし、体系問題集で言うところのレベルA、およびBの前半ぐらいまでについては(暗記とは言いませんが)問題の解き方の流れを覚えてしまうまで反復すべきだと思います。が、Bの後半以降になると、個々の問題特有の解き方・考え方のような部分の占める割合が徐々に高くなってきます。ここからの扱いが難しくなるのですが、同時にそれは頭の使いどころでもあるので、悩ましいところです。
そこで、とくにBの問題については、「定期テストに出題された場合に標準的と思われる解答時間」のあいだは、解答を見ずに自分で解き方を考え、途中まででもよいから答案らしきものを作ってから答え合わせ・やり直しをするという方法をとって欲しいです。とはいえ時間にも限りがありますから、明らかにご自分の理解のレベルを超えていると思われる問題(Cなど)は、後回しでかまいません。但し、定期テストなどの対策として、習った事項・解法を答案として再現する訓練を一時期積むことには、やはり意味がありますから、もし「テストに出すよ」と言われてしまったら、そう割り切って学習を進めていってもらえたらと思います。
最後になりますが、ご家庭で何か参考書を購入される場合、「体系数学」1〜2については、これらに準拠した「チャート式」シリーズがありますので、紹介しておきます。学校採用版と装丁などが一部異なりますが、市販もされています。
○「チャート式 体系数学」1代数/1幾何/他(数研出版)
なお、16年度現在中1の皆さんが持たれている「体系〜」は四訂版で、四訂版に準拠した「チャート式〜」の表紙カバーにも四訂版対応の表示があります。探される場合の参考に願います。ただ、こういったものは、保護者さんから押し付けるような形になってしまうとよくありませんので(笑)、生徒さんが学校の授業でどんなふうに習うのか知ることをメインと考え、もし生徒さんが一緒にテスト対策をしたいなどと言ってくれたら、予想問題を作られたり、類題を出されたりするのに使われてはどうでしょうか。
