「数学ロングトレイル『大学への数学』に挑戦」じっくり着実に理解を深める/ベクトル編/関数編(講談社ブルーバックス)
学参外での発売であるが、難関大志望者ならば知っておいて欲しい問題・解法・発展事項を会話調で解説。他の学習の合間に、読み物として取り組み、知識の抜けを補ったり、自分のものに出来そうな内容を選んで身につけたりと活用したい。
タイトルから、東京出版の「月刊 大学への数学」の記事を再編集したものであろうと連想でき、例えば変数が2個でなく3個以上の場合における「相加平均・相乗平均の大小関係」など、読ませる部分が多い。
(以下は、あくまで当サイトの立場、すなわち普通の受験生が自学自習に、それ以前に学習参考書として用いるという立場からの注意点なので、ご容赦願いたい)
まず、本シリーズは「月刊 大学への数学」から、著者の山下光雄先生が書かれた箇所だけが抜き出されているので、「月刊〜」の平均値をイメージして買うと、恐らく裏切られるであろうこと。特に、先生と生徒役のやりとりだけで問題の解説が終わっているため、そこから模範答案を再構成する力のない受験生は「分かったつもり」で終わりやすいかも知れない(まあ、そこで紙面が節約できる分、1冊で多くの問題・内容を取り扱えるメリットもあるのだが)。さらに、現課程下の受験生(16年9月現在)が用いることを考えると、著者が想定する予備知識のレベルが学習者のそれとかけ離れて感じられるところもあるが、最も古い記事がどれほど前に書かれたものかと考えれば、致し方ない面もある。そういうものだと割り切って使うようにしよう。