「総合的研究 記述式答案の書き方―数学T・A・U・B」(旺文社)
タイトルどおりの部分に特化した参考書。・・・と言うのは簡単だが、よくぞその部分を集中的に言語化し、1冊の参考書にまとめてくれたものだ。感謝したい。
「総合的研究」のシリーズ本として発売されているが、本家の「総合的〜」のような分厚い本ではないので、そのボリュームのものを期待してしまうと、やや拍子抜けするかも。ボリューム感はむしろ「数学標準問題精講」に近い気もするが、本書は「問題」集や演習書ではないし、どこにカテゴライズするべきだろうと考えてしまうと、(恐らく筆者が出版社の担当者なら)困ってしまう。オンリーワンと言ってもいい内容の本なのだから、変に何かのシリーズに編入したりせずに、堂々と出すべきではないだろうか。
高校生で、本書を読みこなせる人は、恐らく本書に書かれていることはすでにかなり実践できていて、モヤモヤッとした方法論が言語化されているところに価値を見出す人であろう。本当に「答案づくり」でつまずいている人には、ハードルが高すぎる気もする。そもそも、書きたい内容が頭のなかにできていないと、答案は書けない。
真っ先におすすめしたいのは、やはり指導者向け参考書としてだろう。(特に筆者などは・・・恥)本当に気づかず「やってしまっている」部分も多々あろうし、言語化されたものを読むことで「こう伝えればいいのか!」と納得できる場面が多いと思う。と同時に、こういった指導は継続的に(できれば高校3年間、中高一貫校であれば6年間、と言わずともせめて4〜5年程度のスパンで)行いたいとの思いも、きっと強くさせられるだろうし、個々人が担当の生徒さんたちにどこまで指導できているかの指標にもなると思う。
※後日加筆しているが、記事日付は初回投稿日のままです
