一段上のレベルから問題を見つめる姿勢が養える?演習書
「思考力・判断力・表現力トレーニング」数学T・A/U(東京出版)
書名に、吹き出しに入った「うたい文句」(?)があり、数学T・A版は「ほぼ計算不要の 思考力〜」、19年12月に発売された待望の「数学U」版は「ちょっと計算も必要な 思考力〜」となっている。数学B・V版が発売されるとしたら、どうなるのだろう。今後の動向に注目したい(笑)
グラフや数値として適当なものを選ばせる問題などを通じて、「数感覚」の大切さを改めて認識させてくれる。関数の定数項に注目するなど、数学が得意な人は自然と行っている「時間短縮」のテクニック(というよりも「見方」そのもの?)に対してもなかなかシビアである。かと思えば、理由の説明で不十分な点を指摘せよといった、共通テストをも意識した問いなどもある。
本のコンセプトが重要であるから、あくまで「スパイス」的なものと割り切って、網羅性などについては期待せずに使うこと。あと、筆者の個人的感想だが、誤答分析などを通じて「頭が良い人の説明の仕方」「一段上からの物の見方」に触れたような感覚に浸ることができた。
最後は毎度、紙面の見た目の話になって申し訳ないが、【解答・解説】ページに問題文が再掲載されているのはよいとして、そのぶん問題文だけを一覧にしたページとの区別がつきづらくなっている気がした。特に「ほぼ計算不要の」とうたっている「数学T・A」に関しては、電車の車内などでパラパラと眺めながら、手を動かさない学習をすることを想定しているのであろうから、もう少し、パッと見だけで何のページか分かりやすくするべきでは。
※18年11月28日執筆分に加筆修正