夏の夜の追憶
「風は海から吹いてくる・・」
夜中に蚊に刺されました。
しかも、刺された場所が「足の指」でした。
屋外」ではよく刺されるのですが、「家の中」では極めてまれなのです。
しかも「足の指」を刺されるとは「とんだ災難」です。
これがまた・・やたらと「痒い」。
手で「ごしごし」・・痒いような・・・痛いような。
「蚊の奴なんでこんなところを・・かじりやがって」
などと「怒って」みたものの、「悶絶状態」が続きます。
やがて、騒ぎを聞きつけた「ちーかあちゃん」が、
「これが効くから・・」
と渡してくれたのが、「チューブ」に入った「虫刺されのクスリ」。
「赤くなった患部」に摺りこんだ瞬間・・・
「ヒリヒリ」した痛み・・・
その「痛み」とともに、「痒み」は「胡散霧消」でした。
・・・・・・
「問題」は、ここで終わっていませんでした。
「蚊」のために、すっかり目覚めてしまったのです。
こんなときは「ラジオ」・・。
「ラジオ」のスイッチを入れた瞬間のことです
「次ぎは『渡辺はま子さん』によります『風は海から』・・・・」
との「アナウンサー」の声です。
「渡辺はま子さん」とは、「戦前」からの「歌手」で、「懐かしい」限りです。
そして流れて来た「歌詞」が「驚異」、
「風は・・海から・・
吹いてぇ・・来ゥ・・る・・」
「あの時の・・歌だ・・」
忘れもしない・・・
「姉」と一緒に観た「映画」の「主題歌」なのです。
しかも「70年」も前のことです。
「歌」とともに、その時の「映像」も・・。
それは、「帆船」の上で、「中国服」を身に纏った「婦人」が歌う姿まで・・・脳裏によみがえってきました。
「映画」の題名など記憶になかったのですが、「戦火」の様子などから、どうやら中国を舞台にした「戦争もの」のようでした。
・・・・・・
後日、「主題歌」である、「風は海から」を頼りに検索しました。
いまの世の中、このような時だけは便利です。
「映画」の題名は、「阿片戦争」。
「主演」の俳優が「市川猿之助」。
女優さんが・・懐かしの「原節子」であり、「高峯秀子」でした。
そして、この映画の封切りは、日本による「真珠湾攻撃」が行われた翌々年の、「1943年頃」とのことでした。
その当時の「日本」としては、「欧米列強」の「アジア圏」での「振る舞い」は「正義」に反するもの・・として「国民」に伝えたかったと思われます。
ところで、「阿片戦争」ですが(詳細は世界史に譲ることにして)・・・、
「1840年」から2年に渡って、「英国」と「中国(当時の清)」の間で「勃発」した「戦争」でした。
簡略化しますと、
「阿片」を売りつけたい「英国」。
「阿片」の輸入を阻止したい「中国」。
これによって、「戦争」が「勃発」したのです。
この「戦争」によって「中国」は「負け」ました。
「1842年」には、「賠償金、香港の割譲、その他」など・・
「中国」は、「英国」に対し「大きな代償」を支払っています。
さて、この「両者」の「正義」は「どちらにあるのか・・」、
さらに、その当時の「日本の映画」では、この「戦争」をどのように描いていたのか・・・などなど、多くの疑問が沸いて来るのです。
それと・・この「戦争の結末」は即座に日本にも伝わったようです。
「1842年」は「幕末」でした。
この後、「1868年」には「明治の改元」を迎えています。
この時の「エネルギー」は「何だったのか・・」。
「阿片戦争」と無縁ではないように思えるのです。
さらには・・「日本の近代化」と「欧米」との「摩擦」。
「真珠湾攻撃」の「勃発」・・・もしかして影響したのでは・・
「この年代」の者には、この時代以降が・・
えらく気になる「歴史」の一つなのです。
「真夏の夜の夢」にあらず
他愛もない「夏の夜の追想」でした。

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