2008/6/10

環境ビジネス 低炭素産業を育てたい  

【東京新聞社説 2008年6月7日】

「環境ビジネス 低炭素産業を育てたい」

 脱温暖化が主要な議題になる北海道洞爺湖サミットまで一カ月。日本は、化石燃料への依存を減らす「低炭素社会」の先導役を目指す。そのためには、環境ビジネスの育成が欠かせない。

 前回サミット開催国ドイツの太陽光発電量は、二〇〇五年に日本を抜いて世界一になったあと、その差を大きく広げている。太陽光パネルの生産量でも、ドイツの新興企業、Qセルズ社が昨年、日本のシャープに代わって世界のトップに躍り出た。スペインや米国などが太陽光発電の導入量を大幅に増やす中、高い技術力を誇る日本の導入量は、減っている。
 違いはどこから生まれたか。それは、石油への依存を減らし、温暖化を食い止めたいという、政府の意思の強さである。
 意思の力は法制度に表れる。一九九八年、環境主義を掲げる緑の党が連立政権に加わると、ドイツ政府は翌年、産業界の反発を押し切って、化石燃料に課税する環境税を導入し、その翌年には再生可能エネルギー法を施行した。この法律で、一般家庭や事業者が、太陽光などでつくった電気を高値で全量買い取るよう、買い取り保証期間付きで電力会社に義務付けた。それなら、やがて電気を売って利益を出せる。こうして「二酸化炭素は高くつく、太陽光は得になる」との“経済観念”を国民の間に広げつつある。
 その結果、巨額の投資資金が流れ込む新たな環境ビジネス市場が生まれ、百万人規模の雇用が創出されるという、環境と経済の好循環を生み出した。環境税収入の大半は年金財源に繰り入れて中小事業者の負担を軽くし、好循環に拍車を掛けた。一方、日本の現行法では、再生可能エネルギーの買い取り義務量はごくわずか、〇五年には、太陽光発電への補助金を廃止して、循環の流れを自らせき止めた。
 環境白書は「環境と経済が両立された社会の実現に資する環境ビジネスのさらなる成長が期待されています」と書く。
 期待を現実のものにするには、産業界との調整や、国民の自主的な努力を促す宣伝なども大事だが、それ以前に、法による環境ビジネスの土壌改良が必要だ。
 北海道洞爺湖サミットを境に、脱温暖化の流れはさらに加速する。環境ビジネスという「風車」を回す「風」に政府がならないと、主導権を握るどころか、「世界」との差は次第に開く。
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