2007/11/10

シンポジウムのお知らせ  

長島の自然を守る会主催
11・23&11・25 シンポジウム
 2007年に新たに得られた調査研究成果を中心に下記のとおり、シンポジウムを開催いたします。

山口会場
日時 11月23日(金・祝日)13:00〜16:30
場所 山口県婦人教育文化会館

上関会場
日時 11月25日(日)13:00〜16:30
場所 上関町中央公民館

パネラー&テーマ
金井塚努さん(広島フィールドミュージアム)
 ☆長島の生態系を保護する意味(11/23)
菊池亜希良さん(広島大学)・新井章吾さん (海藻研究所)
 ☆スギモク群落から田ノ浦の陸域と海をつなぐ地下水の役割を考える−瀬戸内海の原風景が田ノ浦に残る理由−(11/23,25)
新井章吾さん (海藻研究所)
 ☆おいしい海藻料理教室(11/25)
籠橋隆明さん(名古屋E&J法律事務所)
 ☆自然の権利裁判が持つ意義(11/23)
向井宏さん(北海道大学名誉教授) 
 ☆プランクトンから見た原発の問題点(11/25) 

高島美登里(長島の自然を守る会)
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2007/11/10

長島訪問記(3)  

次の日は朝から、潮間帯の生物調査に出る班と、湧水採取装置を回収する班、水中撮影班、野鳥の観察班、山を歩く班に分かれて行動した。私は海好きなので迷わず水中撮影班を選んだ。
水中カメラマンのFさんが潜っておられる間、私も海面に下りて泳がせていただいた。
ゴーグルを海に着けた途端、そこにはスゴイ景色が広がった。水深は確かに10数mあろう、なんとその海底までがちゃぁんと見通せるのである! 
岩による地形もそこに分布する海藻の様子も見え隠れしている生き物たちの様子までも全部がきれいに見えるのである。
これまで私が経験した海といえば水深10mともなればモヤがかかり青緑の闇となる。
見通せぬ故、一体自分がどのくらいの深みの上に浮かんでいるのかが知れない、何ともいえない恐怖感に襲われるのであった。
しかし、ここは違う。私は海底世界の空をゆうゆうと漂っているのであった。
ちょっとした岩の窪みに目をやれば、クサフグがじっとこちらをうかがっている。
海底から伸びた草の葉の陰では、なんと、魚を捕まえているイカを発見!
パノラマのいたるところに生き物たちの息吹が感じられ、この地球が人間だけのものではないことを強烈に感じさせられる光景だった。
昨日の砂浜とは違って海面付近には水の冷たい場所がないので長時間泳いでいても寒くならなかった。
何十分か、命の源である海に帰っていた。

 水中撮影班を沖に案内して下さっていたのは地元の漁師I井さんだ。曲がったコトが嫌いで寡黙な海の男だとお見受けした。
水面に上がってくるアワを観察しながらダイバーのFさんの居所を注意深く追っておられる様子が印象的だった。
突如、むこうから小さな船が2隻こちらに向かってきた。梶をきり悠々とかわすI井さん。
脇を通り過ぎていく船の後部には「監視船」という旗がなびいていた。
漁業補償を受け取り、原発賛成にまわった漁師が雇われているそうだ。
長島の自然を守る会の調査の時には、ご丁寧にこうした嫌がらせをしてくれるらしい。
小さな半島のこと、漁業関係者の多くは顔見知りのはずだ。
できればこんな形で、互いのことを避け合いたくはないだろう。
こうした「つくられた」対立をこの地だけの問題としていいだろうか‥ 
一瞬のできごとであったにもかかわらず、今も心のどこかに引っかかり続けている。

 昼からは再びつどいの家に集合して、まずは昨日の水中撮影の成果が披露された。
どれも貴重な瞬間をとらえたFさんの力作ばかりだ。
パソコン画面に映し出される神秘的な映像にみなで見入った。
採取した湧水でいっぱいになったビニル袋もお披露目された。ローテクの大勝利!

今ここ長島の自然や安心な暮らしは危機に瀕している。
けれど、この破壊行為が本当に許されるのか、私にはとても国民的合意が得られているとは思えない。
むしろ、一緒に考えなければならない人のもとにこの情報はまだきちんと伝わっていないと言えるだろう。
この場に触れた者として、その体験をぜひ多くの人に伝えたいと思った。あつい2日間の調査に幕を下ろし、つどいの家を後にした。

 再び室津の町民の会の事務所にて、今度は内輪モードになってゆるゆると過ごしていた。
子どもたちは誰にも気を使わないこの時間が好きなようだ。
最後の晩餐のために頼んでおいた貝と魚をK浜さんの息子さんが届けてくださった。
どれも捕れたてでおいしそう! アジは新鮮なためタケちゃんが刺身にしてくれた。
さっそうとサバく後ろ姿のカッコよさに触発されて、AやM、果てはY先生までが俺も教えてくれ! と、三枚おろしに挑戦していたのが微笑ましかった。
同時進行で貝に火が通され、新鮮なサザエのつぼ焼きが目の前にごろごろと並んでいく絶景に思わず卒倒しそうになった。
いいにおいが漂い始めたちょうどその時、こんばんわぁ〜と聞き覚えのある声がした。MY姉妹だ。
帽子の忘れ物があったので寄ってくれたそうだ。おかげで、食卓がまたにぎやかになった。
わく星の合宿はいい場所を選んで行くため、ホントいい人たちとの出会いにも恵まれている。
おいしいつぼ焼きが一層おいしくなった、かな。

 翌日はお昼頃に室津を発ち、初日の行程を逆にたどり京都に帰ってきた。
18きっぷの旅は距離を正当に体感できる点がいい。
というのは、仮に上関原発が建設されたとして、その電力は地元ではわずかしか使われることはない。
私たちが通ったのと同じ距離をへだてて、ここ関西で使われることが考えられているそうだ‥ 
距離を実感し、自然に触れ、人たちに会った、そのすべてのことが子どもたちが未来をつくっていくための判断材料になることと思う。
今、日本の多くの子どもたちは最も多感な時期を学歴競争の土俵の上で過ごしている。
そういった環境は、学びの本来的な意味を見失わせてしまうだろう。
わく星学校の試みは学びをより本来的な姿に戻そうというものでもある。
その意味で、今回の合宿もとてもよかった。
長島の自然を守る会のみなさん、地元でがんばっておられる漁師のみなさん、誠実な調査を継続されている研究者のみなさんに感謝しながら、報告を終えたい。

 ちなみに、食料難に備えてわざわざ持ってきたレトルトカレーと鯖缶はお土産にまわることとなった。

kosaちゃん(京都:わく星学校スタッフ)
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2007/11/10

長島訪問記(2)  

 翌日は朝からいよいよ半島の先端、上関原発の建設予定地である田ノ浦をめざした。
私たちはK浜さんの息子さんの漁船に乗せていただいて海から田ノ浦に向かった。
風を切り最後の岬を回り込もうという時、突如海面の上にある鉄筋の建造物が目に飛び込んできた。
原発建設の事前調査のためのボーリングやぐらだ。DVDの中にも既に紹介されていた。
これか‥ あまりに場違いな人工要塞に違和感を感じながら岬を回ってみれば、なんと同じものがあと10機も現れた。
これは最近新たにつくられたものだそうだ。
美しい田ノ浦の浜は今やその半分が鉄骨やぐらの群れに占拠されてしまっている。
なんとも痛々しい光景だった。
さて、最終目的地である団結小屋「つどいの家」はこの浜を見おろす斜面の上にある。
標高としては吉田山くらいのものだが山道は傾斜もあり、水がないとの事前連絡にビビって20リットルの水タンクを抱えていたため結構きつかった。
汗だくになりながら小屋に着き、荷物を下ろしてホッとしたところで、調査に参加するメンバーが顔をそろえ始めた。

 現地を案内して下さる「長島の自然を守る会」は、自然保護の観点から原発建設に反対しているグループで、この地に見られる貴重な動植物の生態を調査し、そのデータをもとに中国電力に対する申し入れなどを行っておられる。
海藻のスギモク、原生動物のナメクジウオ、カクメイ科の貝の仲間(注:革命家の会でない)、鳥類ではハヤブサやカラスバトなど、ここには確かに今や稀少となった生物たちが集中している。
代表である高島さんは「原発建設の如何にかかわらず、どんな影響があるのかを調査し続けるつもり」と言われる。
つまり、人類史的な視点で教訓となる事実をきちんと記録しようというのだ。
非常に奥深い哲学と実践を教えてくれているように思う。

 軽い食事を済ませ、さっそく田ノ浦における湧水の調査に下りた。
ここの海底には非常に豊かな海藻の森が広がっている。
つどいの家が位置する山はその全体が自然林に覆われた貯水槽の働きをしており、海底から湧き出す山の水がこの海藻の繁殖に役立っているのではないかと考えられている。その仮説を裏付けるための調査だ。
砂浜から水に入り、浅い所で泳ぐと確かにいたるところで冷水域が存在する。
湧水を採取するためにK先生が持ち込んだのは何とポリプロピレンのお弁当箱を改造した手づくりの装置であった。ハイテク機も試したが、結局たどり着いたのがこのローテク器だったそうだ。
海底のいくつかめぼしい箇所に装置を取り付け、あとは観察と称してあたりの海を泳ぎまわった。
海藻の森にはたくさんの魚たちが往き来していて、さながら竜宮城のようだった。
子どもたちは泳ぎが苦手なため海には入らず、つどいの家にて夕食の準備を手伝ってくれていたそうだ。
さあ、湧水の採取は成功するであろうか‥  明日の回収時を楽しみに再び小屋へと戻った。

 この日は他にも一日中船で沖に出て海底の生物を撮影する水中撮影班と、海水中の生物組成を調べるためにネットを用いて船からプランクトンを採取する班も存在した。
いずれの班も調査を終え、夕方からはつどいの家にて交流会が行われた。
調査の目的や手応え、この場にかかわる思いなどが口々に語られた。
子どもたちは流ちょうな自己紹介こそできないが、ときおり真剣さも交えた大人たちの会話にしっかり参加してたように思う。この門前の小僧こそが最善の学びであると私は考えている。
守る会のMY姉妹のかけ合いは軽妙で、湧水調査の時ボーリングやぐらに近づき、監視員に怒られたことを紹介しながら、抗議の意味を込めてたくさんの人がこの海で泳いで欲しいといわれた。
猛暑の中、台所を仕切って下さったSリンさんはまわりをぱぁと明るくするヒマワリのような方だ。
堅実な論調と笑顔がステキなM先生、若いエネルギーと熱意があふれるK先生、誰にでも参加できる調査をめざすといわれるK西さん、いずれも研究者としての誠意が感じられる素晴らしい人たちだ。
さわやかな野外派の学生Iクン、K先生を幸せで太らせた奥さま、飾らない野草のようなTさん‥ 昼間触れた生態系とは違う別の稀少種たちがなぜかこの長島に集まってきているようだった。
深夜、仕事の都合で遅くなった高島さんが到着され、翌朝には朝飯前に日課の10kmランニングをされたそうだ。稀少種の行動は常識のワクを超えている。

kosaちゃん(京都:わく星学校スタッフ)
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2007/11/10

長島訪問記(1)  

「長島訪問記」 kosaちゃん(京都:わく星学校スタッフ)

 拙者kosaは本業であるわく星学校の裏時間を使って反核・環境NGOグリーン・アクションのスタッフ業もしている。
今回の長島訪問のきっかけは、この春グリーン・アクションに入った一本の電話からであった。
先方は「長島の自然を守る会」と名のられた。この度完成した会の活動を紹介するDVDのお披露目を兼ねて京都でシンポジウムを開きたいとのことだった。
義理を感じて会場の手伝いに行ったのだが、そこでスクリーンに映された内容に心を奪われたのだ。
こ、これは‥行かねばならない! 自分の目で現地を見らねばならない! 
行き先を決めるミーティングにおいて私は購入したDVDを上映し、みなの賛同を乞うたのであった。
かくして、07年わく星夏合宿の行き先は晴れて山口県上関町長島と決まった。

 移動は青春18きっぷによる鈍行の旅である。
上関がある室津半島は下関とは逆、山口県の東端に位置している。
これまでに訪ねた水俣や高知などと比べれば所要時間もずっと少なかった。
先方の勧めもあり、半島では路線バスよりも直線距離を結んでいる連絡船を利用した。

 初日の宿は半島の中ほど室津の町民の会事務所であった。
原発反対を訴える候補者の選挙事務所ともなった場所で、広い扉サッシの上には「原発に反対し上関町の安全と発展を考える会」という看板が掲げられていた。
当初あまり意識していなかったが、すれ違う町の人たちの中には笑顔を返してくれる人がある一方で、明らかに避けて通ろうとする人もあった‥。
すぐ近くに地元名物のじゃこ天のお店があって、それが夕食のおかずとなった。
途中電車でおちあって案内して下さった森田さんもいっしょに食卓を囲んだ。
地元の漁師K浜さんが顔を出してくださって、ぼくとつとした口調でなんとも味のあるお話をしてくださった。
約束するでもなく何気なくこちらの朝の時間を聞き、翌朝には網にかかった魚を味噌汁の具にと届けてくださった。
森田さん曰くそういう困った人(気を使ってくださる方)なのだそうだ。
ちなみに、当の森田さんはワシゃ一杯半も呑めば眠くなるケ、という事前のお話とは裏腹に‥ (^_^;) でもスキ。
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