今、「マラソン」って韓国の映画が話題になっているの知っているかい?
20歳の自閉症の青年が国際マラソン大会で完走するって実話に基づいたお話なんだけど、詳しくはホームページを見てちょうだい。
http://www.marathon-movie.com/
カミさんが見たいって以前から言っていたから気になっていったんだけど、一昨日の深夜にテレビで映画「マラソン」を紹介する番組をやっていて、タレントの乙葉が韓国へ行ってモデルとなった青年とそのお母さんを訪ねていた。お母さんの望みは「息子よりも1日だけ長生きすること」だそうだ。障害のあるお子さんを持つ親御さんは子どもよりも先に死んでしまう将来への不安を口にする。現実的に厳しい問題だ。
映画はぜひ見てみたい。
字幕のみで日本語吹き替えがないので、子どもと一緒に見れないのがちょっと残念。
さて、自閉症ってなかなか認知されているようで、認知されていないように思う。自閉症の子どもの行動を理解するヒントともなる本の紹介をしたい。
「自閉っ子、こういう風にできてます!」
ニキ・リンコ、藤家 寛子著
花風社・税抜き1600円
この本は、自閉症の一種である「アスペルガー症候群」の翻訳家と作家が編集者と対話する形で自閉症の人たちの独特の身体感覚と世界観を語っているもの。
「アスペルガー症候群」とは、自閉症の特徴を持ちながら一般的にIQが高いため、子どものうちに診断されることが少なく、著者も大人になってから診断されたそうだ。高機能自閉症とともに自閉症の高機能タイプとして扱われている。
私たちは、自分と同じ感覚を他人も持っていると自然に思っているので、まったく異なる感覚をぶつけられると驚いて奇異な目で見てしまいがちだ。自閉症の人には感覚のズレが少しあるようだ。しかし、彼らにとっては当たり前の感覚なのだ。例えば、著者は「雨は痛い」と感じている。私たちが「雨は痛くない」と言えば、彼らは私たちを驚いた目で見ることになる。雨の日に外に連れ出せば、彼らは身の危険を感じパニックを起こす。でも、「雨が痛い」と感じている彼らの感覚を理解できれば、それは当たり前のことだとわかる。
著者が語る言葉や、編集者が2人と接してつかんだ自閉症への理解はまさに生の感覚であり、研究者が発表するような論文にはない切り口で読者にに語りかけてくる。
本の帯に「読む人が増えれば、理解の輪が広がる一冊」と書いてある。対話による結論が語られているわけではないので、読む人によって理解は様々であると思うが、読むことによって理解の輪が必ず広がると思う。「自閉症の子どもの行動が理解できない」とお悩みの親御さんや周囲の方に、ぜひお勧めする。

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