実はゴスペラーズが好きだった。
かれこれ13年ほど前か、合唱時代の友人「しらさん」がジャリズムが大好きで、東京進出初期に出演していた番組「エンタメTV」なるもののを、彼女のお兄さんがビデオに収め、送ってくれていたのだ。
その頃、わたしは中川家をひいきしてて(とりわけ、小柄なお兄さん)二人できゃっきゃ楽しんでいたんだが、その番組の1コーナに出てきていたミュージシャンが、ゴスペラーズだった。
アカペラグループがあまりいなかった時代だったので、彼らの歌声はとっても新鮮に思えた。
とりわけ、リーダー村上てつやの歌声は深く、黒人テイストを感じさせる、かっちょいいものであった。
(ちなみにしらさんは酒井、ゆきは黒沢をひいきにしていた)
まだ、大学生だった彼らにいち早く目を付けた(つもりだった)私は、生まれて初めてファンクラブなるもの入会。
発足まもないファンクラブから届いた会員番号は274番。
おそらく身内ばかりの集うファンクラブだったのではないだろうか。
彼らのファンであることを密かに誇りに思い、数少ないテレビやラジオのオンエアを楽しみにする日々。
香川に住んでいたので、追っかけなどにはいたらなかったが、その後上京したわたしは、ゴスペラーズの前進であるサークル、早稲田大学の「street corner symphony」にコンタクト。
定員オーバーで、入会できなかった。
しばらくするうちにゴスペラーズはどんどん、かっこ良くなっていく。
わたしは、びっくりした。
隣のまちのおにいちゃんのようなゴスペラーズが、いつしか女のファンに取り巻かれていく。
あの、男子大学生のノリが大好きで、もちろんゴスペラーズもそれを売りにしていたところは重々承知だったが、メディアの露出が増えるにつれ、私の心はどんどんと遠ざかってしまった。
アレサフランクリンや、オーティスレディングを私に教えてくれた村上の歌声は健在だったが、黒沢の「ラブバラード」がゴスペラーズの主軸路線となるころには、もう、興味は失せてしまったのだ。
わたしは腹を立てているのか?
ゴスペラーズが嫌いになったのか?
いやそうじゃない、あれだけ応援していたゴスペラーズの音楽に耳を傾ける寛容さが無くなった自分が寂しいのだ。

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