麻生「経済状況見て3年後に消費税上げ」。
これ、アサヒや社民党は国民いじめとかなんとか言うかもしれんが、そうではない。
麻生の巧妙かつ大胆な「
野党いじめ」の計だ。
これによって野党(民主、共産、社民、国民新)を釣って、碁で言えば
ダメヅマリにするのだ。
自民党内の政敵に対しても同じ。誰が敵か味方かハッキリする。ピクリン酸でタヌキを燻り出すようなものだ。
これは小泉純一郎の郵政民営化選挙の手法に学んだのかもしれん。
消費税率引き上げを「やらない」という前提で対案を出すことを野党や政敵に強いて、苦しくするわけだ。
野党の方だって、《今それを明言すると消費意欲が萎えてよくないと言っているだけで、いつまでも決してやらないとは言っていない》というのが正確なんだろうが、その言い方だと選挙向けには麻生自民との対立がくっきりしないから、わかりづらくなってしまう。
野党同士でも《どの党がいちばん反自民(=[彼らとアサヒの脳内では]国民本位)か》という競争もあるから、ここはどうしても「消費税率引き上げに反対」を言わざるを得ない。そうしないとテレビ向けに映えないのだ。
そういう前提で景気対策の対案を出そうとすれば、
余計な条件がついているだけに難しくなってしまう。野党は政権運営の経験や実績がほとんどあるいはまったくないから、なおさら隘路になる。
マスコミは野党びいきだから、後になって野党の方も消費税率引き上げはやむを得ないと言い出しても、一貫性がないといって批判するところは、多分産経以外一社もないだろうとは思うが、そういう一貫性のなさは政治家の言葉から勢いを殺ぐこと間違いない。何しろ、自分が前と違うことを言ってるのは、自分自身がよく知っているんだから。
麻生自民としては、
政策において野党のフリーハンドを奪うことができ、かつ、後で「あー、やっぱり増税しなくてもなんとか済みそうです。御心配おかけしました。すいません」って言う分には、同じ一貫性がないにしても有権者は文句は言いにくい。マスコミが批判キャンペーンしようとしても尻すぼみになるだろう。
麻生は居直っている。
もともと党内に敵が多いので(党内基盤がもともと強固でないところは小泉と同じ)、「お前ら今俺の足引っ張って、それで選挙に勝てなくても知らねえぜ」というメッセージを送って開き直っているわけだ。
民主党に政権が渡ってしまっても、それは麻生のせいと言うより、それ以前から原因があるのだから仕方ないわけで、
・俺はすでに党が危機的状況にある時点でバトンを渡された
・つまり今の状況は俺のせいじゃないんだよな
・俺はハッキリ自分のしたいことを伝えて、それをやろうとしたんだが、仲間に足を引っ張られて十分実現できなかった
・
百年に一度の経済危機は誰がやったって対処困難に決まっている
・つまり俺以外の誰かなら万事うまくいくとかいうことはありえねえんだよ
・
野党はあんだけ大きなことを言ったんだからお手並み拝見しようぜ
・それで(案の定)ダメだったら政権返してもらうからな
・
民主の失敗を有権者が目の当たりにすれば、もう二度と彼らにチャンスは来ないだろう・・・
・・・と、ハッキリ口に出さんまでも、心の中で言えるだろう。というか、誰かが代弁して擁護してくれるだろう。
選挙で、
負けても仕方のない状況だったとすれば、その後どう振る舞えば復活の目があるか、安倍のケースを反面教師にしてじっくり学んだろう。
【今週の結論】
麻生太郎は世にも酷薄・残忍な政略家である(笑)。
野党は一見麻生自民を包囲しているように見えるが、実は
ダメヅマリである。
一歩間違えると野党は頓死するのだ。

0