◆Megadeth(2000):
Capitol Punishment-The Megadeth Years (Capitol CDD 7243-5-25916-2-6)
アーティストがベスト盤を出す理由は次のようなものである。
(1)結成○周年というような節目の記念。あるいは再結成する。
(2)じつは解散または引退が迫っている。あるいは創成期からのメンバーが抜ける。
(3)レコード会社を移籍しようと思っているのだが契約が残っており、今さらオリジナルアルバムを制作する気がない。
(4)○年間に△枚のフルアルバムを出す契約になっているのに、事情があってレコーディングまたは制作が完了しない。
事情とはたとえばこういうことである。メンバーのケガ、病気、不祥事、スイスはレマン湖畔のスタジオを借りていられる期限が迫っているのに頭のおかしい奴に宿舎を放火されてしまった(このケースではそれをネタにした曲が大ヒットしたのでメンバー全員が一生食って行けることになった。塞翁が馬)、など。
アルバムの制作に取りかかったがいい曲があまりできずボツが多いので(これをここにme-and-the-boys-are-playing-but-just-cannot-find-the-sound-Beth-what-can-I-do situationと呼ぶことにする)、旧作ベスト+新曲ちょびっとということにするお、ファンは新曲目当てに必ず買うだろ常考−というのもこれに入る。
(5)正規のアルバムとアルバムの間にかなりの間がある上にテレビに出ないので、ファンに飢餓感があり、シングルコレクション(+ボーナストラック、バージョン違い、オリジナルカラオケ)でも何でも出せば売れる入れ食い状態になっている。
(6)何かの理由(離婚、麻薬からのリハビリ、ありがた迷惑な突然の遺産相続によるものすごい課税、何かの敗訴、株の失敗、詐欺にあってスッテンテン、奥さんの難病、など)でとにかくお金が必要。
(7)最近勝手に海賊版コンピレーションを出され、しかもそれが結構売れているのでムカついて、「昨日今日始めた奴に負けるワケがねェッ!本物はこっちだァ!!」((C)たがわ靖之)と、意地で「本物」を出してしまう。これを「カジノ・ロワイヤル型」と呼ぶことにする。大人気ね〜・・・。
(1)の例:ブラック・サバス。
(3)の例:エアロスミス(このバンドの場合(4)と(6)もある。麻薬から生還したメンバーが前非を悔いて作った血涙の名曲"What It Takes"は、親の心子知らずというか、B'zの「憂いのGYPSY」という曲にパクられた・・・)。
(4)の例:メタリカ?ヴァン・ヘイレン?
(5)の例:B'z?SPEED?
(6)の例:エリック・クラプトンの数あるベスト盤(いろいろありすぎて、曲目が重ならないものすらある)は多分すべてこれ。
(7)の例:今思いつかないがレッド・ツェッペリンのはこれか?
で、メガデスのこれは今から思うと(2)であった。
聴いて思うこと−
(a)構成の際だつうまさ(しかも多様)。ほれぼれする。
(b)それにしちゃ歌メロがあってないような感じで、歌詞も聴き取れない(実際、度々「空耳アワー」に登場する)。これはボーカル兼リズムギターのバンドリーダー、
デイブ・ムステインが薬物中毒の上アル中でおまけに鬱病なので(それで趣味がスカイダイビングって、ホントに死にたいんだなこの人は・・・)、「自分の言葉なんてどうせ誰もまともに聴いちゃいねえ」と思ってるからであろう。
歌詞にも"No one cares for me"("In My Darkest Hour")だとか"All my plans [were] denied"("A Tout Le Monde")だとか"Why do you think I'm broke, huh?"("Peace Sells")だとかの文句が多い。
(c)9.11以降もこのバンド活動していたら何を歌っていたか、大体想像がつく。親父の方のブッシュは散々こいつらに嘘つきとか人殺しとか言われていたのだから。残念だけどこの人たち解散してよかった。そうじゃなかったら今頃マイケル・ムーアとかオリバー・ストーンと同じジャンルに入れられていたはず。ていうか、自ら入ってたはず。「インテレクチュアル・スラッシュ」というキャッチフレーズからすれば、「チョムスキーと」と言ってあげるべきだったかな。

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