2009/6/27

レクイエム( good-by Michael ! )  

 私はミュージシャンでは無いのですが、音楽ミキサーとして影響を受けたミュージシャンを問われれば、迷うことなく「マイケル・ジャクソン」を挙げます。この手の質問に「ビートルズ」と答える人が多いですが、私個人としてはビートルズ全盛期とは10年程時間差があり、どちらかと言えば、70sのディープ・パープルやレッド・ツェペリンの時代なのです。
 80年代に入り、ジャクソン5から独立したMJが頭角を現し、丁度時を同じくして私もこの業界にデビューしたのでした。MJの凄い所は、(もちろん全てがハイパーなのですが!)楽曲、アレンジ、ミキシングと全てがパーフェクトなところです。その中でもミキシング・テクニックが、同じ生業を目指していた若き青年としては驚異的に聞こえました。どうしてこんな音が創れるのか想像もつかないからです。ドラムの音だけ何回も聞きなおしましたが、どうすればこんな「POP」な音が録れるのか・・?
 ある時職場でお気に入りのMJを聞いていて、(もちろんレコードです!)ふと音卓の上にある波形モニターを見ると・・、なんとスネアのリサージュがまん丸です!!スネア単体の音はモノラルでOHマイクで左右に多少広がることはあるのですが、こんなまん丸は見た事がありません。この時初めて、世の中には「ゲートリバーブ」と言うイフェクトがあることを知りました。今となっては安物のデジタルミキサーにも、ゲートリバーブくらいはプラグインで用意されていますが、当時はデジタルリバーブが有ったか無かったか位の時期なので、ゲートリバーブを作ること自体大変でした。(BX20とKEYPEXUを組み合わせ、ミキサーのAUXからトリガを送りました)自分でゲートリバーブを「創った」時の興奮は、今でも忘れる事は出来ません。「これだよ!この音だよ・・!!」その後スネアにホワイトノイズをミックスしたり、コーラスにディレイが掛かっていて、それも4〜5層ディレイであることが分かり、ただディレイを掛けると音が冷たいので、モジュレーションさせることで「空気感」が表現でき、位相をいじる事で音のニュアンスが微妙に変わる事が分かりました。
 今の人から見ればそんな事は当たり前かもしれませんが、当時は機材も無く「空間」を表現する為に、実際に地下倉庫にスピーカーとマイクをセッティングして、音に色付けしたりしました。(数年前ニューヨークの某超有名スタジオを訪問する機会がありましたが、今でも非常階段にスピーカーとマイクがセッティングしてあり、使っているそうです!)
 そんな話よりMJが最高のミュージシャンである事は事実で、その才能に魅せられた最高のスタッフが集まったことは疑う余地が有りません。ただそんな天才の末期が、ゴシップや風説にまみれて終わってしまった事が残念でなりません。
                                合掌
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