手元に読みたい小説がなくなって、11日を最後に暇つぶしの読書もできない。
そんな時に「風の盆恋歌」の作者高橋治氏が亡くなられた。早速、図書館に予約したのが届いたので開館時間間際に受取に出掛けた。
2002年9月2日にバスツアーで「越中おはら風の盆」に出かけた。当時、石川さゆりの「風の盆恋歌」を好んでいた妻のリクエストであった。この旅行は苦い思い出になった。
20時過ぎに現地に到着したのだが、バスを降りて間もなく人の流れに飲まれて二人ははぐれてしまった。一瞬よそ見をしている間の出来事であった。それから妻を探して街中を歩き回った。
帰途の集合時間の24時になっても臨時駐車場に妻の姿はない。
そのころは携帯電話を持っていないので妻に連絡の取りようがない。バスの出発時間を遅らせてバスガイドが心当たりに電話連絡を取って、バスセンターにそれらしい女性がいるということがわかるまで1時間ほどしてわかった。バスは1時間遅れで午前1時に2時間かかる長野県の宿泊地に向った。
翌日、謝罪で48名の同乗者に缶飲料を配った。このまま東京までバスで行くのは気まずい思いをするので、善光寺で寄るところがあるという口実でバスを降り、新幹線で帰ってきた。
妻はバスを降りたら何かに魅かれたかのように寺の境内に設けられた野外演舞場での踊りを観ていたということだった。
これを契機に携帯電話を持つことにした。
苦い思い出の「風の盆」である。

0