5月29日(日)に行なわれる予定の横沢入里山管理市民協議会(西多摩自然フォーラムも参加)によるヨシの引き抜き作業は、開放水面のある池の環境を整備するためのものです。横沢入にいくつかある池は、いずれも元水田だったため一様に水深が浅く、あっという間にヨシやガマなどに水面がおおわれてしまいます。こうなってしまうと
ギンヤンマ(画像中)や
クロスジギンヤンマ(画像上)といった開放水面を好むトンボは産卵できません。
本来ため池の多くは岸から次第に深くなっていくものが多く、水草の生え具合や深さによってさまざまなトンボがすみ分けています。
サラサヤンマ(画像下)のような、湿地を好む種類も岸辺近くにすむことができたでしょう。
さらに昔は、定期的に底をさらったり、飼料などに使うため水草が刈り取られたりして、池が土砂や枯れ草などの堆積物で埋まってしまう遷移の進行がリセットされていました。雑木林と同じように、人手が入ることで生物の生息環境が保たれていたわけです。
ヨシ抜きは、横沢入にさまざまなトンボがすみつけるよう、多様な環境を作り出すためにも欠かせない作業なのです。昔はあちこちに似たような里山環境があったので、わざわざ横沢入に彼らのすみかを作り出す必要は無かったかもしれませんが、そのほとんどが失われている現状では、横沢入にもそうした機能が求められています。
ここに「里山の原風景」だけを求める人も多いかもしれませんが、生きものの生息を支えていない見た目だけの里山は、単なる書き割りに過ぎないのではないでしょうか。より多くの方の作業への参加をお願いします。
●5月29日・市民協議会共同作業
現地拠点施設10:00集合。池に生えたヨシの引き抜きを行ない、開放水面を作ります。必ず軍手と長靴、あればウェイダーで。
詳しくはこちら
「人気ブログランキング」をクリックいただくと、より多くの方に横沢入の価値が伝わります→