「日韓両生類市民シンポジウム韓国編その4・Japan-Korea International symposium and fieldwork Part 4」
国際交流 International exchange
世宗市を訪れたあと、忠清北道東部の山地に渓流性の両生類を見に行ったのですが、50年ぶりの旱魃とのことで成果はあまりなく、今度はさらに50kmほど移動して国家1級保護動物のスウォンアマガエルの生息地を訪れました。すでに夜も遅いので周辺の環境はよく分かりませんでしたが、何の変哲もない水田にアマガエルと鳴き声が違う以外に区別するのが難しいような種がすんでいるのは、驚くと同時に保全の難しさも感じました。
この時点でカメラのバッテリーが切れてしまっていたので、同行の御手洗さんの画像を貸していただきました。
翌日は、行程がかなりハードだった前日までに比べ、比較的ゆとりを持ったスケジュールでホッとしました。
まず大田市のグリーンコリアの教育事務所を訪れ、伝統的な薬草茶の接待を受けたあと、活動についての話を聞きました。市の施策に対してさまざまな申し入れを行なった結果、環境保全についての賞を受賞させるほど方針を変えさせたとのことです。また、環境教育については力を入れ、さらに日本の環境保全の方向性(例えば球磨川の荒瀬ダム撤去問題など) についても強い関心をもっているようでした。
その後訪れた郊外の休養林では、3月のシンポにも来たキム・ヒョンテ先生が最初にイッキサンショウウオ(韓国に隔離分布する唯一のアメリカサンショウウオ科)を発見したフィールドを訪れ、多くの両生類や爬虫類、昆虫などの生態に触れることができました。
この日は再び清州市に戻り、日本側から地上性昆虫の調査についてレクチャーを行ったあと、交流会が開かれて3日間の日程を終えました。
最終日に立ち寄ったソウルでは、ビルの谷間で暗渠になっていたどぶ川に処理した漢江の水を流して清流を復活したという触れ込みの「清溪川」にも行ってみました。30℃を越す炎天で多くの市民が訪れ、川沿いの緑道の散策や水遊びを楽しんでいましたが、魚影はあるものの塩素の匂いが強く、これを「自然の復活」というのには強い違和感を感じます。
開発の勢いがまだまだ強い韓国では、横沢入のように開発をストップさせることは難しく、一部だけでも保護区として残すことで生きものの生息環境を守ろうとしている段階にあるように感じました。ヒキガエル公園や清溪川が「開発と生き物の調和」のモデルケースになってしまうことを危惧します。もっとも、そうした悪しきパターンはすでに日本各地に見られるわけですが。
また、韓国ではまだまだ生き物オタクが少ないようで、市民調査の輪を拡げるためには、こうした「基礎体力」を付ける必要性を感じました。
(Photo and Report by "Yamakaji")
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