西多摩自然フォーラムでは、1994年から青梅市の小曽木で休耕田と雑木林を借り、復田して米づくりや伐採した材によるキノコ栽培と炭焼きを行ないながら、生き物の生息の場としても良好な里山をどのように複合的に管理するか、実践と技術の習得に努めています。
10月6〜8日には、いつも横沢入で生物調査に参加しているメンバーも助っ人に出て、今年の稲刈りが行なわれました。もちろん手刈りで、画像のようにぬかるむので機械は使えません。
かつては多くの水田がこうした「湿田」で、農家の労力はたいへんでしたが、生き物にとっては冬にも湿度が保たれているので暮らしやすかったと考えられています。
実際、小曽木の田んぼにもカエルはもちろん、トウキョウサンショウウオやホトケドジョウなどの希少な生き物まですみついています。
最近ではあちこちでこうした谷戸田の耕作が行なわれているようですが、なかには収量を求めるあまり、冬は完全に乾かしてしまう「乾田」にするなど、生き物の生息には都合が悪くなってしまった例も聞きます。
そもそも谷戸田が使われなくなったのは条件が悪く生産効率が低いためで、そこで何が何でも収量を上げようというのはナンセンス。そうした米づくりがやりたければ平地の田んぼの方が適しています。
そんな非効率な谷戸田をわざわざ復元するのは、生き物の生息環境を確保し、それと共存できる農業とはどんなものかを実体験することに他なりません。
忘年会などのイベントであっという間に消費してしまう程度のわずかな収穫ですが、食欲だけではない多くのものを満たしてくれます。
今年の農作業はほぼ終わりですが、来年はぜひご参加下さい。
(Photo by Delias)
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