東京の里山　横沢入通信

　3月3日に行なわれた国際シンポジウムの報告を続けます。
[Second of the three-part series on March 3 symposium]

　韓国からの発表は、まず韓国両生類保存ネットワークのキム・ヒョンテ（金賢泰・瑞山高校教諭）さんより、韓国に生息する両生類の分布や生態についての詳しい報告がありました。バワポのページが140もあるボリュームで、時間が足りないと残念がっていましたが、韓国の両生類の全貌が十分に把握できる内容でした。とくに最近のHynobius属のサンショウウオの分類については、興味深いものでした。
First Korean speaker Mr, Kim hyun-tae introduced the outline of Korean Amphibians.


　次は日本から、カエル探偵団世話人の福山欣司さんにより、東京都のレッドデータ改訂を例にして、日本の両生類がおかれている危機的状況とその原因について紹介されました。
　続いては韓国最大級の環境NGOの一つグリーンコリアの地域組織である、忠清南道グリーンコリアのコ・ジヒョンさんによる「テジョン(大田)市民のジムグリガエルモニタリングの意味と成果」。都市近郊にもすむ韓国の絶滅危惧種・ジムグリガエルについて、多くの市民が参加してのモニタリングにより、生息地の保全を勝ち取る事ができたものの、普及啓蒙の不足など、まだまだ課題も多い事が紹介されました。
Next Japanese speaker Mr. Kinji Fukuyama introduced the threatened species of Japannese Amphibians.
Second Korean speaker Ms. Koe ji-hyeon reported monitoring by citizens for conservation to Koloula borealis (Mycrohylidae) in Dae-jeon city.


　忠清北道・清州市から来られたNGO・ヒキガエルの友達のモニタリングリーダーであるハム・チュンホさんからは、同市のヒキガエル繁殖地の開発に対する保全運動と、わずかに残った環境をカエル公園として整備し、そこで行なわれている環境づくりやモニタリングの内容が報告されました。つづく
Last Korean speaker Mr. Ham choong-ho reported the Toad park in Cheong-ju city, where protected from deveropment and monitoring by citizens for Toad conservation.
(Photo and report by "Delias" and "yamakaji") Detail to follow.

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　3月３日(土)、毎年恒例のトウキョウサンショウウオ・シンポジウムが開催されました。会場は東京都日野市にある名刹・高幡不動尊金剛寺の客殿です。
In March 3, the 14th Tokyo salamander symposium = Korea-Japan international symposium for amphibians monitoring by citizens, meeting at Takahatafudoson-Kogoji temple in Hino city, TOKYO.


　第14回目の今年は、初の国際シンポジウムとして韓国の団体を招き、「日韓両生類市民シンポジウム・〜両国の市民による両生類の保全活動とモニタリング〜」のテーマで、日本自然保護協会と共催で行なわれました。
Theme of the symposium was "Conservation activities and monitoring survey by Korean and Japanese citizens at now", that produced by Tokyo salamander's study group with Nature conservation society of Japan. The audience was Over 120,


　例年通りのサンショウウオに関心をもつ研究者や愛好者に加え、今年は各地で両生類についての市民モニタリングを行なっている人々も加わって、参加者は120名を超える盛況でした。


　会場を提供いただいた高幡不動尊金剛寺の貫主様のご挨拶に続き、まず相互理解のために、「日本と韓国の両生類」と題し、生物地理学的に見た両国の違いと共通点について、トウキョウサンショウウオ研究会の川上洋一の講演からスタートしました。つづく
At first, Japannese speaker presented the compare with Korean and Japanese Amphibians, for mutual understanding.
(Photo and report by "Delias" and "yamakaji") Detail to follow.

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　3月３日の「日韓両生類市民シンポジウム」のために、引き続き韓国の両生類を紹介します。

●チョウセンサンショウウオ(幼体と幼生) Hynobius leechii


日本の止水性サンショウウオと生息環境や生態がよく似ている。近年●ゴリサンショウウオ Hynobius yangi（釜山周辺に分布）●チェジュサンショウウオ Hynobius quelpaertensis（済州島などに分布）が別種として分けられ、日本と同様に各地で種分化が進んでいるのかもしれない。

●ハコネサンショウウオモドキ(幼生) Onchodactylus fischeri


日本のハコネサンショウウオ Onychodactylus japonicus に近縁で生息環境も同じく山地の渓流。ツメがある点なども共通だが尾が短い。

●キタサンショウウオ Salamandrella keyserlingii

サンショウウオでは唯一の日韓共通種だが、日本での分布は北海道の釧路湿原のみ。ユーラシア北部に広く分布する。

この他、太平洋を挟んで隔離的分布をするアメリカサンショウウオ科の●コケサンショウウオ Karsenia koreana を含め計７種。(キタサンショウウオ近縁種 Salamandrella tridactyla は北朝鮮に分布)

　韓国に分布する両生類が21種なのに対し、日本は59種５亜種と圧倒的に数が多いのは、下の図のように日本が東洋区と旧北区の２つの生物区系にまたがり、さらに旧北区のシベリア亜区と満州亜区の２つの亜区にもまたがっていること、地形が複雑で各地に隔離されて種分化したと考えられる種（例えばサンショウウオ類やアカガエル類）が多いことなどがあげられる。


(photo by "Delias" and "Yamakaji")

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　「日韓両生類市民シンポジウム（第14回トウキョウサンショウウオ・シンポジウム）」もいよいよ今週末となりました。今回は韓国で両生類の保全活動に携わっている団体のほぼすべてが来日するので、日韓の両生類の違いについて事前に知っておくと、交流がスムーズに進むと考えます。そこで昨年夏にyamakajiが訪韓した際に観察した種類を中心に、韓国の両生類についての概要を紹介します。
Photo and interpletation of Korean Amphibians for under-standing to compare with Japan.

●スズガエル　Bombina orientalis (Discoglossidae)


韓国を代表するカエルの一つ。皮膚に毒をもつといわれ、腹が赤くカラフルな模様をしているのも警戒色と考えられている。山地の森林で見られ、緑と黒の派手な姿も林床にいると見つけにくい。DMZ（非武装地帯）近くの水田でも幼体がみられた。

●スタイネガーヒキガエル　Bufo stejinegeri (Bufonidae)

韓国固有種（中国東北部のごく一部にも分布）。渓流性のヒキガエルだが頭が小さく、同じような環境にすむ日本のナガレヒキガエルには似ていない。捕まえると死んだまねをする。

●チョウセンヤマアカガエル　Rana dybowskii (Ranidae)

日本では対馬のみに分布。近縁の●チョウセンアカガエルと同じ環境で見られることも多く、日本のアカ、ヤマアカとの関係と共通のものを感じる。識別のポイントも日本のヤマアカと共通。

●アジアヒキガエル　Bufo gargarizans (Bufonidae)


日本では琉球列島の宮古島にすむミヤコヒキガエル B. gargarizansの基亜種。島嶼化で小型になった宮古島亜種と違い、堂々たる体躯をしている。腰に見えるのはテレメトリー調査のための発信器。

●アマガエル　Hyla japonica (Hylidae)

日本との共通種。近年に発見された●スウェオンアマガエル Hyla suweonensis は、分布がDMZ（非武装地帯）周辺に限られ、本種との関係は明らかでない。

●トノサマガエル　Rana nigromaculata (Ranidae)


日本との共通種。オスには緑色が強いものが多い。韓国には●プランシーガエル Rana plancy chosenica、日本にはトウキョウダルマガエル Rana porosa porosa という近縁種がおり、3種の関係は興味深い。

この他、共通種では●ツチガエル Rana rugosa、日本に生息しない種では●ジムグリガエル Kaloula borealis●ファンレンアカガエル Rana huanrenensisが生息し、計14種が知られる（２種は北朝鮮に分布)
(Photo by "Yamakaji")つづく

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　いよいよ３月３日（土）の開催まで2週間を切った「日韓両生類市民シンポジウム」。これまで13年間毎年行なわれてきた「トウキョウサンショウウオ・シンポジウム」の国際版として、トウキョウサンショウウオ研究会と日本自然保護協会の共催で行なわれ、西多摩自然フォーラムも協力します。
　テーマは「両国の市民による両生類の保全活動とモニタリング調査の現状」と題し、韓国のNGO・グリーンコリアと、韓国で両生類の保全活動を行なっている主だった団体を招き、日韓の両生類の現状やモニタリング調査の取り組みについて発表します。


日韓両生類市民シンポジウム
●日時　　2012年３月３日（土）9:50〜16:30
●場所　
高幡不動尊金剛寺客殿　日野市高幡733　Tel.042-591-0032 (京王線又は多摩モノレール「高幡不動駅」下車徒歩５分）
●参加費　500円（会場費・資料代）
●主催　　
トウキョウサンショウウオ研究会・公益財団法人 日本自然保護協会
●協力　　カエル探偵団・高幡不動金剛寺・西多摩自然フォーラム
●問合せ　
日本自然保護協会保全研究部・福田　Tel.03-3553-4104
トウキョウサンショウウオ研究会事務局　Tel.042-550-0265

Korea-Japan international symposium for amphibians monitoring by citizens
< Conservation activities and monitoring survey by Korean and Japanese citizens at now >
●Date and time
March 3 (sun) 9:30〜16:30
●Place
Takahata-fudoson Kongoji temple "Kyaku-den" 733, Takahata, Hino-city, Tokyo
●Access
Get off Keio line or Tama monorail line at "Takahata-fudo" station, and five minutes to walk.
●Information
Nature conservation society of Japan < charge by Fukuda > Tel.03-3553-4104

●プログラム(韓国側講演は通訳付き)
9:30　　開場
9:50　　開会挨拶　
10:05〜
「日本と韓国の両生類」　
川上洋一（トウキョウサンショウウオ研究会）
10:25〜
「韓国の両生類の現状」
キム・ヒョンテ （韓国両生類保存ネットワーク）
11:05〜
「日本の両生類の現状　〜東京都レッドデータ改訂を例に〜」
福山欣司（カエル探偵団世話人）
12:00〜12:50　昼食休憩
12:50〜
「韓国における地域での保全活動」
コ・ジヒョン（グリーンコリア）
13:50〜
「清州ヒキガエル公園からの報告」
ハム・チュンホ （カエルの友達）
14:50〜15:00　休憩
15:00〜
「両生類の市民モニタリングの現場　〜東京都あきる野市横沢入を例に〜」
久保田繁男・佐久間聡（西多摩自然フォーラム）
15:40〜
「市民モニタリングの力を広域の保全に活かす」
福田真由子（NACS-J保全研究部）
16:30　 閉会
17:30
懇親会(高幡不動駅周辺にて・参加費4000円・希望者は当日申込み)

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