すっかり暖かい日が続いて、いよいよアカガエル類(P.Delias)もトウキョウサンショウウオも本格的な産卵シーズン突入といった感じですが、それにつけても気になるのがアライグマの動向。一刻も早く
横沢入の管理責任者である東京都に対応を求めようと、西多摩自然フォーラムでは本日2月25日付で、トウキョウサンショウウオ研究会と連名の要望書を、都の環境局と多摩環境事務所宛に提出しました。
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特定外来生物・アライグマによる横沢入里山保全地域の生態系への被害防止についての要望書
平成22年2月25日
東京都多摩環境事務所 所長殿
東京都環境局 局長殿
西多摩自然フォーラム
トウキョウサンショウウオ研究会
東京都で第一号の里山保全地域に指定された横沢入(東京都あきる野市横沢入)は、環境省や東京都のレッドデータブック掲載種を含む、多くの両生類の生息が確認されています。
今回、私たち西多摩自然フォーラムによる調査の結果、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で指定された特定外来生物アライグマにより、多くの両生類が食害されている事が明らかになりました。
本年2月14日、21日に行われた調査では、産卵期をむかえているヤマアカガエルの死体が計40個体確認され、いずれもアライグマによる捕食の特徴が表われている事に加え、付近では多数のアライグマの足跡が見つかりました。さらに2月19日には、被害の現場近くに設置されたセンサーカメラにより、アライグマ1頭が撮影されています。
アライグマによる両生類の食害は、ここ数年、西多摩の各地で拡大している事が確認されており、とくに環境省により絶滅危惧II類に指定されているトウキョウサンショウウオに対しては、産卵期に多くの成体が集中的に捕食され激減したと考えられる生息地も多く、深刻な影響が明らかになっています。
1998年の環境庁(当時)による「種の多様性調査」ならびに2008年のトウキョウサンショウウオ研究会による都内全域調査により、横沢入のある伊奈丘陵が都内最大級の生息地である事が確認されていますが、このままアライグマの食害を放置した場合、他の生息地と同様の個体群の激減が懸念されます。
また、たとえ絶滅危惧種ではなくても、食物連鎖の底辺で多くの在来肉食動物の生活を支えている両生類の減少は、横沢入の生態系全体の崩壊を招く可能性が大きいと言っても過言ではありません。
さらに横沢入周辺では確認されていませんが、他地域では野鳥の卵やヒナ、ホタルのエサとなるカワニナなどの水生生物に対する食害も発生しており、今後は同様の被害も予想されます。
東京都に隣接する神奈川県、埼玉県、千葉県が、外来生物法(略称)に基づき、生態系に係る被害の防止を第一の目的にアライグマ防除を積極的に行っているのに対し、残念ながら東京都は鳥獣保護法(略称)に基づく有害鳥獣駆除により、農作物被害の出た一部の自治体において個別に行われているに過ぎません。
神奈川県など、先行して外来生物法(略称)に基づくアライグマの捕獲を徹底して行っている地方公共団体では、生物多様性や生態系の回復が顕著に現れ、対策効果の高さを示しています。
以上の点を踏まえ、指定外来生物アライグマの食害により横沢入の生態系が壊滅的な被害を受ける事の無いよう、以下の3点を要望致します。
1.両生類の繁殖期に当たる2010年春季から、横沢入においてアライグマの捕獲を行って下さい。
2.横沢入に侵入するアライグマの根本的防除のための計画を立てて下さい。
3.捕獲の実施ならびに計画策定の際は、事前にご連絡下さい。併せて、意見交換の場を設けて下さい。
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東京都の今後の対応にご注目ください!!
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