2007/8/30

Irina Palm 29/08/2007  
pariscopeパリスコープ(情報誌)でシネマの頁なら、私が見るのはautres films その他の映画ということで、つまり、封切りになったばかりの新作じゃないってこと。今週は4つえらんだ。今日は、自転車に乗ってムフタールへ、観たのは『Irina Palm』映画館を出てムフタール通りの坂で座り込んでしまった私は、平日の正午過ぎに観る映画ではなかったなと思いつつ、、でかいサングラスで目を隠していた。
 あれはいつ?高校生だったな確か。「あの胸にもう一度」という邦題の映画をみた。原題は知らない。アラン・ドロンが高校教師、マリアンヌ・フェイスフルが若い女学生、ハーレーにまたがって二人は国境をこえる。黒革のジャンプスーツのジッパーを下ろすと真っ白な肉体、激しいシーンの連続。。。
大学で卒論に選んだシュールな作家が、その映画の原作者だったことを知るのは、ずっと後の事。というより、だから選んだともいえる。マリアンヌ・フェイスフルがミック・ジャガーの恋人だったと知るのもその頃だ。
そして、去年公開された50代の彼女が演じる映画がその「イリーナ・パーム」。
病気の孫息子のために四苦八苦するおばあちゃん、なんて言ってしまったら、おしまいだが、ストーリーは典型的なメロドラマなのにdignityのある映画に感動した。
哀しくて美しくて超カッコイイ。哀しいお話が美しい所以はなにか。そこに必ず誰かしら猛烈に「耐える人」がいるからだ。そしてその優しさは何よりも強い。
私の青春のどこかに、黒い革のジャンプスーツを脱いで裸になる、ものすごく綺麗な唇の厚い女優のイメージが焼きついてる。
人は絶対に老いていく、でも、あんなに優しくて強い女が演じられたら生きる価値があると思った。
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2007/8/30

Paris je t'aime  
2006年フランス映画、1時間50分。私のアパートから、ノートルダムを挟んだ対岸の小さな映画館、本日の最終上映21時45分。
20の映画人が撮った18の短編集。去年観に行きそびれた。いちばん好きだったのは、Oliver Schmitz のPlace des Fêtes、かつて住んでいたカルティエということもあったけど、ストーリーも構成もいい。広場の地下駐車場で働く黒人男性が暴漢に襲われ、手当てを受けているわずかな間にフラッシュバックする、記憶。僕とコーヒー一杯一緒にどう?と息絶え絶えに誘う彼に答える、救急隊員の黒人女性が、無言なのにとっても美しくて饒舌。
14区、もよかった。典型的な肥満のアメリカ人観光客が愛するパリを語る。客席は笑いの渦。ものすごい米語ナマリのフランス語。滑稽だが愛せる。アジア人のフランス語だって彼らにとっては大差ないかも、なんて思う。
フォーブール・サン・マルタン、の盲目の青年もよかった。16区の果て。自分の子供をおいてベビーシッターに通う母親は、母国の同じ子守唄をその子にも歌って聞かせる、悲哀。ペール・ラシェーズでは、オスカー・ワイルドが墓から出てきて恋人達の仲を取り持つ。恋愛、暴力、薬、別離。。映画館を出ると完璧な満月が輝いていた。サンルイ島へ渡りながら、私は独り、詩人になっていた。なぁんて、橋の上でサックスを吹く人の前で立ち止まってしまいそうになって、自分を現実にひきもどす。ん〜あの角を曲がったら、このままこの街のどこかに神隠しにでも遭ってしまいたい、とか想いながら。Paris je t'aime!




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2007/8/23

雨、また雨  
連日の雨で、気温が低いだけでなく鬱陶しい。日中でも20度を超す日がめったにない。そういえば、パリ・プラージュ(セーヌ沿岸の車道に砂浜やデッキを設ける夏のパリ市の催事)もいつの間にか終わっただろうなぁ。夏のように晴れた日は数えるほどしかなかったはず。
 部屋に引きこもっていると良い考えが浮かばないので、出かけることにした。近所の教会でクラシック・コンサートをやっていた。Cathédrale Sainte-Croix des Arméniensアルメニア聖十字架聖堂とでもいうかしら小さいけれどなかなか古くて味のある教会。チェリストの演奏がはじまったところだった。バッハの独奏。あわてていたのでもう一枚上着を着てくるのを忘れた。みんなレインコートやセーターを着ている。こんなグレイな日に教会でバッハを聴くなんて逆効果だったかしら。天気予報は明日も雨。半袖をしまって、秋冬物を出さなきゃだめだ。
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2007/8/16

「シャトー・ディフ」  
 8月に入ってからもパリは肌寒く、今年は夏を逃してしまったと思っていた矢先、友人のjujuがマルセイユに行くと言う。聞けば私の知る人も加わっているという劇団の合宿稽古先だ、一緒に行く!とせがんだ。パリから約3時間、TGVを降りればそこに夏はあった!午前中から皆が稽古に出かけてしまうと、私たちは海。着いた翌日はパスを乗り継いで、海岸沿いにずうっと東の方まで遠出なるべくすいている浜辺を選んで直ぐに寝転がる。
 フェリーに乗って島に行くのもいいらしいよ。とjujuが言った、イフ島って知ってる?ん?いふ?シャトー・ディフつって、昔の島流しみたいなところ。 瞬間その「シャトー・ディフ」というカタカナ活字が脳裏によみがえった。それと、図書館の古い床がきしむあの音。深緑色の装丁に金の文字で印刷された長編小説、アレクサンドル・デュマの『モンテクリスト伯』だ。エドモン・ダンテスが陰謀で流される島、それがシャトー・ディフだった。
 中高生の頃、図書館の「今月のベストテン」みたいなリストにある本を借りるのが最もきらいだった私は、自分のカンに頼って気に入った小説をみつけるのが趣味だった。読書量は多くなかったがそれが偏屈なわたしの趣向で、中でも陥れられた高貴な魂が繰り広げる復讐劇、なんかがわたしの好みで、「モンテクリスト伯」に出会った時の喜びは今でも忘れられない。全7巻くらいあったと思う。読み進むごとに次はどうなるのかと期待で胸がいっぱいで、読み終わった巻は自分のものにしておきたくて、なるべく人目につかないように書棚の奥まで深く押し込んでおいたりした。
 フェリーで到着した時、この場所にくるとあの頃、全体、どうして予想することができただろうかと私は、胸が高鳴った。図書館のきしむ床の音と庭の中に別館になっているあの建物や窓の風景が一気にフラッシュバックして甦る。Donjon(塔)内ではエクスポが開催中で、世界のベストセラーになったフランスの最初の小説と記されていた。23本もの映画にもなっている。やっぱ、ベストセラーだったか。。
私の身体の中だけで繋がる想い出のリンク。ああぁ、生きていて良かった。生きているってすばらしい!
フェリーはそのあと、イフを含めて群島になっているFrioulフリウル島に私たちを運び、そこではシャトー・ディフを観ながらつながる地中海で泳いだ。陽射しは刺すようだけれど、南フランス特有の冷たい風mistralミストラルが焼けた肌を冷やしてくれる。

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2007/8/9

人も景色も移りゆく  

朝九時彼は必ずやってくる。そのカフェのメインの入り口からは最も遠い席がわたしの部屋の窓の真向かいになる。彼の前には白い犬がすわり、新聞を読む彼をのぞきこんだり無関心なふりをしたりする。
 時にこのカップルは、席を替わることもある。配置が逆になったりもする。夏、彼が愛用する白のスーツはその犬と実にいいコントラストである。いつのころからか、朝、アパートの中庭に鳴り響くカンヌ(杖)の音が耳につくようになる。アルミ製で彼の歩行を支えるそれは、軽量で、石の床に当たると切ないむなしい音がする。彼はわたしと同じアパートの別棟に住んでいた。
 去年の冬母を失くし、年明けに部屋に戻ると、朝のコーヒーを飲む彼の姿も、白い犬の姿もなかった。いつもそこにあるものが無くなるととても気になるもので、ある夜一杯ワインを飲みに行き、店員に聞いてみた。彼は病気で入院し、犬は前のパトロンの愛犬で、今はもういないと。つまり、カフェの経営者がかわり、犬はいなくなった。春になり彼は戻ってきた。だいぶ痩せていたが、朝のコーヒーは欠かさなかった。
雪が降ったり、ヒョウが降ったりしたときも私は写真をとった。少しずつ、店の様子が変わり始めた。外に出していた椅子やテーブルの数が増え、デッキも広げたりして派手になった。日曜に大きなガラス越しに見えていたカラフルなブランチのブッフェもなくなった。
 夏のバカンス中、パリのレストランやカフェや商店は軒並み改装工事をしているが、パリの中心街にあたるこのカルティエでは観光客の足は途絶えることがない。
新しいパトロンはさらに店を拡張しはじめた。外にひさしを広げ道路向きに椅子とテーブルを並べた。今週の月曜日から、新たにこの街を往き交う観光客やパリジャンは足を止めて、私の部屋の窓に向かってコーヒーを飲んでいる。彼の姿がよく見えなくなった。クリックすると元のサイズで表示しますクリックすると元のサイズで表示します
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2007/8/8

boot camp in paris  
スポーツ用品といえばGO SPORT、ヴァカンス用にエアベッドやらキャンプ用品やら水着にシュノーケルなどを買い求める人々を尻目に、探しに行ったのはトレーニングチューブ。ビリーの筋トレをやるための、あのゴム。
レピューブリック、レアール、マドレーヌの各店舗に行ったがグリップつきのばら売りが売っていない!売り切れ?もしや、パリでも流行っている?や、そんなはずはない。今日はマドレーヌ通りまで足を伸ばし、最後のたのみのDECATHLONへ。あった、ありました。残り3本。直ぐに2本を胸に抱き、おもわず笑みが。
 やったあとは、ヘルシーなサンドウィッチとトマトジュースが飲みたくなるの。バゲットを切ってロメインレタスとソーシソン、エメンタールを詰め込んだだけの自分製。今日はお酒が抜けそうだ。
 boot campって、米軍のNavyの新兵訓練基地のことらしい。広島の原爆投下の日近いのにそんな筋トレ自粛するべきかな。それはそれというものの、ニッポンはまだ「米」に振り回されてるな。わたしの腹部の脂肪さえも。
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2007/8/6

Ole!  
18世紀のモニュメントと、すごおく新しいフラメンコダンスの共存。
先週末あたりから、パリの住人達はことごとくヴァカンスへ旅立ち、街にはほとんど観光客のみ、と言ってもよい様子を呈しているが、なぜこんなに人が集まるの?と疑問になってしまうほど感心した。
 泣く子も黙るパレ・ロワイヤルの2つの大きな回廊の間ををシートで区切り、仮設の客席およそ500〜600席のベンチ。すり鉢状の底には、リノを敷いただけの舞台。
2部構成で、ショウは22時開演。ちょうど空が完全に暮れてくる時刻。23時半、野外ステージなのに熱気は十分かたいベンチシートまで伝わってくる。客席満席。どこから、これだけの人が集まるの?ダンサーはかなりアカデミックだけど、それほど凄い有名スターでもない。
 東京では成立しないだろうな。時刻は深夜0時をまわり、日付もかわっているというのに8割は席をたたない。
長い夏の夜を楽しむ、この精神。ラテンの方々の人生のたのしみかたには、学ぶもの多しでございました。
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2007/8/1

性器の独白  

この本、日本では、ヴァギナ・モノローグと訳されているらしい。作者はアメリカ人でしょ。で、何故にヴァギナと?医学用語だから?ま、いいか。根拠なし。
 8区Havre Caumartin駅近くのrue des Mathurinsマチュラン通り36番地と38番地に劇場が並んでいた。どちらも私設劇場、それにしてももろに隣りあわせとは。パトロンは同じ人なのかも。どうでもよいが、そもそも36番地のマチュラン劇場の方に、一人芝居で有名なフィリップ・コーベールが演出しているという、女性のソロ芝居を観ようと思って出かけていった。
ところが、着くと隣の劇場前に人だかり。演目をきくと、Monologues du Vagin、遠い記憶に聞き覚えが。
ちらしの文にひかれて、そちらの芝居にのりかえることにした。
 クラシックな劇場のつくりがそのままミニチュアになったような可愛らしい劇場。
 200人以上の女性に取材した、女性器にまつわるトラウマや願望や経験やもろもろをアメリカの作家がまとめた告白式リポートを、3人の世代の異なる女優が朗読、ときに独白形式で語る。
世界じゅうで45ヶ国語に訳されたこの作品、フランスでは60万人以上の観客動員第7シーズン目という。アフリカの性器を縫い合わせてしまう習慣についてや、アフガンの女性についての性差別についても報告されてそれは女性に対する暴力や迫害の、告発ではある。
が、同時に笑わずにはいられないエピソードの数々もある。
さまざまなあえぎ声の羅列、では、たとえば、「パリ16区のシックな喘ぎ声」なんてやってみて、すましている上層階級を軽く嘲笑する。これはフランス版だけでしょ、きっと。
 日本では誰がどこでやったのか知らないけれど。某宮○なにがし、アモンらしい。そういえば、レーザーなんとかHG?あの人、前回日本に帰った時はおおはやりで、今回帰った時もういなかった。あ、あれは、ラモンだっけ。
そもそも、ゲイノオトコニオンナノセイキノコトナンカワカルノ?ま、プロデューサーの良識とセンスの問題だけど、そんなこと今更ニッポンのコマーシャル演劇界で問えないもんね。
 レベルの違う話は別として、いつも芝居は「どのようにやるか」だけにかかっている。シリアスなテキストを笑い飛ばせる軽さをもって、クリティックを欠かせずに、やれるセンスだけがエレガンスだと私は信じている。




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