「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」
と言ったのは織田信長だったが、私の身近にも信長がいた。
オカンは日頃、軽自動車に乗っている。
30年間ペーパードライバーだったのに、3年前から運転するようになった。
なので運転歴は私とほとんど変わらない。ということは、決してうまくはないというか、下手だ。
なかなか風邪が治らなかったオカンは、その時薬をのんでいた。そのせいで少しボーッとしていたらしい。
自宅の車庫にいつも通りバックでいれていたのだが、ナニかがひっかかっている。でも、サイドミラーで確認しても何も見えないので、思い切って踏み込んだ。
バン!
ナニかに当たった音がしたので、あわてて車から降り後ろを確認する。
何も変化なし。やれやれ。
翌日の朝、よくよく見てみると後ろ右側のライトカバーが割れていた。
車庫に置いてあった棚にぶつかったらしい。
「修理で一万円かかったのよ!あんな小さいライトのカバーで!」
「へぇ…でもあの棚って前からあったよね?」
「あった。でも、もうないわよ」
「…なんで…?」
「もう壊してやったわ。ドライバーで!」
棚が自分から車にぶつかったわけじゃなく、ずっと同じ場所に置いてあったわけで、カバーが割れたのも修理で一万かかったのも、オカンが悪い。
でも悪いのは、棚なのだ!
壊してやったわ!ざまーみろ!フォッフォッフォッ!
実際のところ、棚がなくなって困るのは、他でもないオカンなのに。
なんでこんなにうれしそうなのだ?
この信長的DNAは脈々と私に受け継がれている。
かんべんしてよ、ホントに。
画像は、破壊王の餌食になった棚、の残骸。


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