今年の仕事始めの日。記念すべき最初のお客さんの車が入って来た。
さーて誰だろう??
「あ、マライアキャリーだ」
059が言った。・・・マライア?
確か059がそう呼んだ客がいたなあ、でもどんな人だったか思い出せない。
だってマライアキャリーだ。そんなインパクトがある人なら私が覚えていないはずがないのに。
「私、覚えてないよぅ。誰?」
「マライアに似てる人。・・なんとなく」
なんとなく〜〜〜?なんだそりゃ。そんなぬるいあだ名のつけ方があるか!
マライアが店内に入って来た。
驚く程似ていない。
(どーこーがーマライア!!!)
(似てるじゃん、ドコとは言えないけどぉ!)
(あんな丸顔のマライアいるかい!)
(・・は、鼻かな・・あ、あ、アゴかなあ・・)
(なんじゃそら)
いろんな人にあだ名をつけてきた私たちだが、こんなに意見が別れたことはない。だが基本的に、誰かがそう呼び始めたらそれがその人のあだ名になるのがウチの掟だ。
彼女のことはこれからマライアと呼ばなくては。
だがしかし・・あまりにも似てなさすぎて、覚える自信がない。
あれがマライア・キャリーなら、私はアンジェリーナ・ジョリーだ。
彼女が帰るまでになんとか顔を覚えようと努力した。
結果、彼女の顔は覚えた。不本意ながら、彼女はマライアだ。
でも次回彼女が来てもやっぱり「顔は知ってるけど、誰だっけ?」と言ってしまうだろう。
だってホントに似てないんだもん。
てゆーか、なんでこんなにマライア・キャリーにこだわってるんだろう。
いいじゃん、059がマライアだって言うならそれで。(←なげやり)

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