雑貨茶屋のトホホな毎日

出張2日前くらいになると、アゴもしくはほっぺたのあたりにでかいニキビができる。それをウチでは「出張ニキビ」と呼んでいる。取引先の方々は、出張ニキビありきで私だと認識しているのではないかと不安になるくらい毎回だ。緊張性出張ニキビだ。

それがまたできている。
実家でゴハンを食べている時、横から痛いくらい視線を感じた。
オカンが私の鼻をじっと見ている。そう、今回は鼻のてっぺんにできているのだ。よりによってなんでこんなとこに……。
「アンタ、それ……」
「うん！わかってるって！」
鼻のてっぺんが赤くなっているのは本人が重々承知しているのに。
ゴソゴソ…。
ゴハンの途中なのに、オカンがひきだしからナニか出して来た。
「コレ塗っときなさい」
薬だった。
「うん、でも化粧落とさないと…」
「夜、寝る時によ」
「薬は塗ってるんだってば！」
「ならいいけど……。メンチョは気をつけないと……」
メンチョ……。
顔の中心線上にデキモノができるとよくそう言う。確かによくないらしい。でもコレは出張ニキビであってメンチョじゃない！はず。
「メンチョか？コレ……」
「メンチョよ！」
きっぱり言われた。

その後、毎晩薬を塗っていたのだがいっこうによくならない。
鼻の頭はずっと赤いままだ。ピエロのつけッ鼻のようになっている。
お客さんと話していても、みんな私のメンチョを見ている気がする。
いや、気がするじゃなくて、絶対見ている。
出張ニキビ改めメンチョはカレコレ一週間私の鼻にいる。
そして昨夜、顔を洗っていた時とうとう爪でひっかいてしまった。
今朝起きたら、鼻がズキズキするのだ。
ナニか出て来ている。化膿が悪化している。059も心配しはじめた。
仕方ないので皮膚科に行くことにした。

診察室に入った時からすでに、私の鼻は注目されていた。
「今日はどうされましたか？」
って、わかってるくせに…。
「えっと、鼻に…」と最後まで言う間もなく先生が言った。
「あ〜できてるねー。デカイねー。…これは…ヘルペスだね」
へ？ヘルペス？！
よく口のまわりにできるやつか？
「鼻にできるのはめずらしいね〜。…でかいね」

ニキビじゃないのにニキビの薬をつけても治らないはずだ。
出張が近くもないのに、出張ニキビができるなんてと思っていたらやっぱり出張ニキビじゃなかった。
出張ニキビ改めメンチョ改めヘルペスは、病院でもらった薬でみるみる赤みがひいてきている。病院というのは偉大だな…。