去年名古屋で開催された万博だが、リピーターが多かったことでよく知られている。私は1回しか行けずいまだに後悔している。始まってすぐ行っていれば、多分リピーターになっていたはずだ。そういう人のためにパスポート券もあったのだ。
だが、パスポート券を持っていながら一度しか行けなかった人を知っている。
ハリーさんだ。
ハリーさんはアメリカ人でありながら、名古屋の某大学で教授をしている。専門は「日本近代史」。おまけにカリフォーニア大学でも講座を持っている。いやホントにすごいインテリさんなのだ。
そんなインテリ・ハリーさんだが、日本語はムツカシイと言う。
「最近サカキバラ先生、いらっしゃいませんね?」
「ア〜…カレハサイキン、ケンコウガワルイ、デスネ」
健康が悪いのだ。なんてわかりやすい。
「アノヒトハ…ダイタイ…ヨンジュウノマツゴロ?」
「40の末?…あー!40代後半?ですか?」
確かに日本語ってムツカシイ。
昨日、私がDSで英語漬けのソフトをやっていた時、ハリーさんがやってきた。
「ハリーさん、ちょうどいいところに!英語力判定してみましょう!」
「ナンデスカ〜?ゲームデスカ〜!オウ!テストデ〜スネ!」
そして、ハリーさんの英語力は……。
「ハリーさん、初級じゃないですか〜!ダメじゃないですか!」
「ハッハッハ〜〜!」
そんな小さな意地悪をした私を、ハリーさんは許さなかった。
「ハナ、ドウシマシタカ?」
……かなり赤みはひいてはいたが、やはりわかるか……。
「ヘルペスです」
「ヘルペス!イタイデスカ?」
「病院行ったんで、だいぶよくなったんですよ、これでも」
「カワイソウデスネ〜」
「ありがとうございます。へっへっへ」
と、ここで終わればやさしいハリーさんだったのだが。
突然、朗々と歌声が響いた。
ハリーさん?
英語だけど、なんか聞いたことある、メロディ…。
あーっ!!!
「ハリーさんっっっ!それ、♪真っ赤なおっはっなのぉ〜トナカイさっん〜は〜♪じゃないですかっ!」
「ハ〜ッハッハッハッハ!」
笑いながらハリーさんはウインクをした。
ホントにハリーさんってば。
カワイイんだから。

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