今日、なんとも卑劣な事件が、長崎市街中心部で発生した。選挙活動中である現職の長崎市長・伊藤一長(いとう・いっちょう)氏が、暴力団幹部によって銃撃された。
『伊藤長崎市長、銃撃され重体 容疑者、殺すつもりだった
17日午後7時50分ごろ、長崎市の伊藤一長(いとう・いっちょう)市長(61)が、JR長崎駅前にある同市大黒町の選挙事務所前の歩道で、短銃を持って待ち伏せしていた男に背後から数発撃たれた。伊藤市長は長崎大学病院に運ばれたが、意識不明の重体。長崎県警は市長を撃った男を殺人未遂の疑いで現行犯逮捕するとともに、男が所持していた短銃1丁を押収した。長崎市では90年1月、当時市長だった本島等氏(85)が長崎市役所玄関前で右翼団体の男に短銃で撃たれ、重傷を負う事件があった。
逮捕されたのは、長崎市風頭町、指定暴力団山口組系「水心会」会長代行、城尾哲弥容疑者(59)。調べに対し「伊藤市長を狙った。殺すつもりだった」と容疑を認めているという。県警は背景や動機などを追及しているが、市発注工事の入札などに絡んで市長との間に以前からトラブルがあったという情報もある。
伊藤市長は、22日投開票の同市長選に4選を目指して立候補。この日は同市南端の野母崎地区などで遊説し、漁港では午後3時から地元の住民約60人を集め、「地域の特産品を売り込み、地域の活性化を図りたい」などと話した。こうした選挙運動の後に事務所に戻ったところを狙われたとみられる。城尾容疑者は当初、選挙事務所の関係者らに取り押さえられたという。
現場にいた男性によると、銃声は2発したという。また、伊藤市長が救急車に運ばれるところを目撃した男性は「ぐったりとして、何度も人工呼吸をしていたが、ぐったりとしたままだった。腹部が血のようなもので汚れていた」と話した。
県警によると、伊藤市長の警備は本人からの要請がなかったため、特別にはしていなかったという。脅迫や嫌がらせなどの相談を受けたこともなかったという。
一方、病院に駆けつけた長崎市議によると、伊藤市長は病院の救急治療室で緊急手術を受けているという。
伊藤市長は自民党の市議、県議を経て95年4月、「平和市長」として知られていた本島等氏の5選を阻んで初当選した。長崎市初の原爆投下後生まれの市長で、初当選直後までは「平和行政は、国がやるべき仕事。地方自治体が口出しすべきではない」と話していたが、就任後は平和行政に積極的に取り組み始めた。
当選から半年後には、オランダ・ハーグの国際司法裁判所大法廷に立ち、「核兵器使用は国際法に違反している」と涙を浮かべて証言。その後も、毎年8月9日の平和宣言で世界に向かって核廃絶を訴え続けてきた。
市幹部ら周辺からは「被爆都市の市長という立場が、平和行政の重要さを自覚させた」と言われていた。』
2007年04月17日22時29分(asahi.com)

事件現場は、長崎の玄関口長崎駅前、県営バスバスターミナル付近にある伊藤市長の選挙事務所前である。

伊藤市長の選挙事務所前で現場検証する長崎県警の捜査員

現場周辺は、規制線が張られ重々しい雰囲気に
報道によると、詳細はまだわからないが、容疑者は市の公共工事に絡んで起きた事故に関わるトラブルがあったようだ。
最近、暴力団関係者が自治体に言いがかりをつけて、金銭を脅し取るというケースが多くなっているという。この事件もその類だろうか。しかし、長崎市側は毅然とした態度で、脅しに屈しなかったのだろう。このことで、容疑者は、伊藤市長に対して恨みを買ったようだが、長崎市側がとった行動は当たり前のことであるが、プロの脅しから逃れるのは相当勇気がいるものだったと思う。しかし、結果として、長崎市長が銃撃されたことは大変残念なことである。
平和市長で知られる本島等前長崎市長も17年前に天皇の戦争責任問題を巡る発言で銃撃され重傷を負った。
前市長、現市長と続けて銃撃されるという前代未聞の事態が起きてしまった。たしかに、自治体に対する不満は少なからずあるものである。私もそうだ。しかし、暴力で不満を訴えることは絶対許されないことで、一番卑怯なやり方である。
伊藤長崎市長は、被爆地長崎の市長として、国際会議で「核廃絶」を訴え続けてきた。また、国民保護計画の作成にあたって、国の核攻撃による具体的な被害想定や対応策を国に求め、回答が得られなかったために核攻撃に関する記述を全国の自治体で初めて記述を削除する方針を示した。また、観光面では去年の長崎さるく博を成功させ、今年から長崎さるくという新しい観光スタイルを確立した。いくつもの実績をあげているのである。
今回、公務であればボディガードも付くのであろうが、選挙活動中であったこともあり警備も手薄になっていたのであろう。凶悪事件が比較的少ない長崎でこのような事件が起きたことは非常に残念である。そして、拳銃が身近にあることをおもいしった。
今度の長崎市長選挙はこの異例の事態をうけてどうなることだろうか。
伊藤一長長崎市長のご回復をただただ祈るばかりである。
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