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以前の記事で紹介したNCC(長崎文化放送)制作のドキュメンタリー「愛してるよ、カズ〜小児がん・命の記録〜」が、1時間に拡大して長崎文化放送で放送された。
内容はある程度わかっているものの、何度見ても涙があふれてとまらない。
光武上総君が、天国に行ってしまってから約半年が過ぎた。母親の光武稜さんは上総君の告別式直後に産まれ、上総君が名付け親の「花香(はなこ)ちゃん」も首がすわり、すくすくと育っているようだ。
番組の中では、未公開映像がいくつか写された。クレヨンしんちゃんが大好きで、声までしんちゃんに似ている上総君のくったくのない笑顔は天使そのものであった。そして、誰よりも上総君の母親、光武稜さんが大好きであった。
余命2ヶ月と告げられ、その期限を過ぎても上総君は元気であった。運動会ではしゃいでいる姿は、とても病気にかかっていると思わせないほど、上総君は元気であった。母親の稜さんは、上総君をみて涙ぐんでいた。しかし、上総君の前では絶対涙を見せない。気丈に振舞う稜さんを見ると母親の強さを感じた。それは、何よりも上総君を愛しているからだと思った。
上総君に奇跡はおこらなかった。昨年の12月、家族に抱かれながら静かに息をひきとった。上総君が亡くなる直前、稜さんは上総君に「愛してるよ、カズ」と言った。上総君は意識がもうろうとするなか「・・俺もぅ・・}と言葉を返した。稜さんの愛の言葉を、上総君はしっかりと受け止めていた。
上総君の告別式では、上総君のクラスメイトが泣いていた。上総君はみんなに愛されていた。クレヨンしんちゃんと同じように、上総君はクラスのみんなに親しまれていたのだ。
このドキュメンタリーが3月に放送された後、反響が大きかったようだ。私が、このことを記事を書いた後も、検索で私の記事をご覧になる方は未だに絶えない。3月下旬にも再放送され、そして今回、未公開映像も含めて、1時間枠で放送されることとなった。それも、ゴールデンタイムの時間帯であった。
この映像は、長崎大学医学部の学生に教材として使用されたという。この放送を見て、医学生の方は、「将来ガンで亡くなる子供が助かるようににしたい」と抱負を語っていた。
小児ガンにかかった子供の約7割は助かるそうだ。しかし、3割は亡くなってしまう子供がいる。昨年、長崎大学付属病院では上総君を含め3人の子供がガンで亡くなったという。
終末期医療がとり立たされているが、助かる見込みのない子供に対して、どのようなケアをしていったらよいのだろうか。上総君は、生きている間たくさん楽しいことをさせてやろうと、上総君の両親は決断した。つらい決断であっただろうと思う。しかし、上総君は、上総君の両親の大きな愛を十分受けて、天国に旅立っていった。無理に苛酷な治療を続けるよりも上総君にとってはよいことだったと思う。そして、上総君は短い人生だったけど、上総君は人生をしっかり生き抜いたと思う。そして、その上総君の両親はたっぷり上総君に愛情を注いだ。上総君は幸せだったと思う。
命の尊さ、命は限りあるものであるから尊い。しかし、最近は命を軽く見た事件が多い。この世から愛がなくなってきているように思える。愛情は注げば注ぐほど絆は強くなってくる。しかし、その愛情が薄くなってきているように思えてならない。このドキュメンタリーをみて、愛情の大切さを改めて強く思うようになった。
番組の最後では上総君の母親、稜さんが天国の上総君に宛ててメッセージを朗読した。
「上総へ 虹ヶ丘小学校の桜も満開になりました。あなたの体がお空に昇っていった日の夜に産まれた花子は、もう首がすわって最近は声を出して笑うようになりました。あなたと初めて出合ったのも二人でしたね。初めての子供で何も解らず、夢中で過ごした日々を思い出しながら、もう少し楽しんでいたらよかったなーと、いま少し後悔しています。そして今年、あなたがいなくなって見る桜はとても悲しくて、隣にあなたがいないことがとても寂しくて、涙が出そうになります。でも泣きません。どこかで見てくれているあなたが心配するといけないからね。桜の思い出の中にはぴかぴかに光るあなたの笑顔がたくさんあります。その思い出を大切にしながら、前を向いて歩き出したいと思います。来年は、お父様と春音と花香といっしょに笑顔で桜を見られるように、どうか見守っていてくださいね。でも時々悲しくなってちょびっと泣くのは許してね。上総へ、たくさんの愛を込めて 稜ちゃんより」
そして、稜さんが花香ちゃんを連れて、上総君のクラスメイトと会った。稜さんが「カズをちょっとでも覚えててね」と言うと、「覚えてるよ」とみんなから返事があった。上総君は、友達の心にもいつまでも焼きついているようだ。
このドキュメンタリーを通じて、多くの人が上総君のことは忘れないと思う。命の尊さ、家族の愛情の大切さを教えてくれた。
今回長崎地方のみの放送ではあったが、この番組の取材・構成を担当したNCCアナウンサーの志久弘樹さんは、全国で放映したい意向のようである。ぜひ、今回のように全国放送で、ゴールデンタイムに放送してもらいたいものである。
(追記)
このドキュメンタリーは、書籍化されています。楽天市場、Amazonでも購入することが出来ます。
愛してるよカズ
光武稜著・長崎文献社
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