話を聞いてもらいたい、肯定してもらいたい。それは、人間の根本的な欲求だと思う。
友達がインターネット上の子育て悩み相談室で専門家にすてきな回答をもらって元気付けられた、と便りを寄越してきた。もし気が向いたら、とアドレスが添えられていたのでのぞいてみたが、わたしには普通のことしか書かれていないように思われた。でも、それはわたしが「一読者」だからであって、「本人」に必要なのは面白い回答ではなく、心に副う言葉なのだろう。
わたしはむしろ、その先生がナウシカの巨神兵を「滅びた旧世界の怪物」と表現していたことの方が気になって。巨神兵はバイオ兵器だ。道具だ。いわゆる「太古の記憶」のようなものではない。
わたしという人間の根っこの部分は自分のことで精一杯で冷たい人間だと思う。今も昔も。
特に今のわたしには、子育ての悩みや喜びを共感したり理解したりする心の余裕が無い。聞かされるだけで、「あなたも産めばいいのに」と言われているような気持ちになってしまう。
わたしが子どもを産むということは、あの人たちの血を引く者をまたこの世に送り出すということだ。なんと恐ろしいことだろう。わたしはあの人たちに振り回されるのはもう御免だ。どんなに努力しても絶対に分かり合えない人間がこの世に居るということを毎日毎日思い知らされる暮らしは、もう沢山だ。
他の苦労は買ってでもするから、どうか許して。許して。許して。

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