
「ブランカ」 谷口ジロー著(小学館,谷口ジロー選集)。マンガ。
谷口ジローの動物物で編集された選集は,第1巻の
「犬を飼うと12の短編」のほかは,ブランカものというやや安易な構成。
第2巻の本書は,長編「ブランカ」。遺伝子操作により作り出された強力な軍事犬ブランカの話。このブランカが施設を逃げ出す。そこに,機密漏れを防ぐため,抹殺しようと動くものたちと,ブランカの飼い主や動物研究者,密猟を行うハンターなどを巻きこんだ壮大な話。
展開は読めるのだけれど,荒唐無稽になりそうな話を谷口ジローらしいリアリティーでうまくまとめて,こういう状況に置かれた犬の悲しみを表現し,読者は物言わぬ犬に思いを馳せることができるという不思議な作品。

「神の犬」 谷口ジロー著(小学館,谷口ジロー選集)。マンガ。
そして,こちらはブランカの続編。ブランカと狼との子どもの存在を知った,某国諜報部は,今度こそ完璧な軍事犬として養成しようと,そのうちの1匹をさらう。しかし,国内事情もあって,暴走状態となった軍事犬は野に解き放たれる。
しかし,明らかに少年マンガな題材を,シートン動物記かと思わせる生き生きとした描写で埋め尽くすというのは著者ならではですね。

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