![ハート・ロッカー [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51QFCD0ZiUL._SL160_.jpg)
「ハート・ロッカー」 キャスリン・ビグロー監督,ジェレミー・レナー,アンソニー・マッキー出演(2008,米)。
イラクを舞台に,米軍の爆弾処理班の活動を描いた映画。爆弾を前にした恐怖という意味では,(平時も含めた)爆弾処理班を描いた作品に共通しますが,舞台をイラクにしたことで,テロとの戦争といいながら被占領地帯であるイラクの一般市民が多く被害を受ける爆弾テロの現実について否応なく考えさせられてしまいます。
端的に言って,米軍のイラク侵攻がなければここまでひどい状況は起きなかったんじゃないかと。
現場は現場で動いている訳なので,日々厳しい現実に直面している人たちがいる訳です。この映画をどう見るかということは置いて,主人公の生き方みたいなものが意外に心地よかった。
まあ,はっきり言って職人的生活な訳ですよ。緊張を強いられる場面で,地道に一つ一つこなして,あーほっとした,生きててよかったーみたいな感覚は,こういう映画だと許せる。やはり相手が爆弾だからという部分が大きいと思う。
そして日常という意味では,装甲車に子どもたちが石をぶつけたり,イラクの夜の街を走り抜け,恐怖と共に何ともいえない活力を感じたり(これは視聴者である自分が,だけれど),誰かに狙撃されないかという緊張感に包まれながら警戒するんだけれど,我関せずと,わらわらと寄ってくる人たちの日常とかが,ちょうど砂浜の水際のように時折波のように訪れては消える。こんなところが女性監督ならではなのかもしれない。
メッセージ性もなくはないけれど,戦争っていうものが引き起こすいろいろとやっかいな現状みたいなものをそのまま伝えたという感じの映画でした。

0