

「特捜部Q カルテ番号64」 ユッシ・エーズラ・オールスン著,吉田薫訳(早川書房)。
シリーズの第4作。警察署の地下にある,過去の未解決事件を捜査する特別班である「特捜部Q」。事件に巻きこまれたカール・マーク警部補をやっかい払いするつもりで設置した部署であったものの,予算がついたことから警察本部でも無碍にできない。さらに,奇妙な連中で構成されたチームであるにも関わらず実績を上げているものだから署内でも無視できない状態となりつつある。
今回の事件は,過去の連続失踪事件で,台頭してきた極右政党を配置し,不妊手術を強制してきたことがあるというデンマークの負の史実も織り込んだ。
本作では,アラブ系のアサド,多重人格を持つらしいローサら個性的な部下の活躍も華々しい。
ミステリーとして見ると,もう一つ捻りがない。展開としても,これまで同様終盤で突撃し,ひどい目に遭うというパターン。そういう意味では,何かが必要なんだけれど,このメンバーが出ている限り読み物としては楽しく読むことができる。
そして,何だかんだ言いながら早く次作が出ないかな−と思ってしまうのであった。

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