

「ウォール街」 オリバー・ストーン監督,マイケル・ダグラス,チャーリー・シーン出演(米,1987)。映画。
弁護士物のドラマ「Suits」は,時折映画のセリフを交えるシーンがある。そんな中で,ゲッコーが出てきたので,見ることにした。
証券界の大物である,ゴードン・ゲッコーは,証券マンであれば是非お取引をお願いしたい相手。チャーリー・シーン演じる主人公も彼との取引のため,連日電話をするもののなかなかコンタクトを取れない。
粘り強いアタックの結果,彼に会えた主人公は,チャンスとばかりに自分を売り込む。
ゲッコーは,インサイダー取引を頻発し,儲かればよいというスタンス。曰く,「欲は正しい。」。対する主人公は,父親が航空会社の整備士ということもあり,次第に自分を失っていく。「俺は誰だ。」という問いも痛々しい。
つまり,これは金と人との戦いでもあって,バブル時代の華やか時代には,かほどに大変なことだった。今でこそ,儲け話には警戒心を持つのが普通になっていますが,当時は,それが正しいことに極端に振れていた訳で,その結果,この映画の批判的なスタイルも,ゴッドファーザーのかっこよさのように,時代の前には辛みも旨さとでも言わんばかりの捉え方をされたようです。
そういう映画を,宴の後とも言えるこの時代に見ると,それはそれで新鮮な印象です。バブルの崩壊とリーマンショックは,かえって人間性の回復に一躍買ったのか,とかいった問いが浮かんできます。
しかし,ガジェット関係は,随分変わりましたね。ゲッコーの持っているどでかい携帯とか,液晶が小さすぎるテレビなんかを見ていると,簡単に滅びるもの,変わるものの姿を考えさせられます。我々も手元の機器についての愛着はほどほどにと思わされますね。

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