
「星の王子さま」 サンテグジュペリ著,小島俊明訳(中公文庫)。
ホッブズのリヴァイアサンは,現在レビュー中ですが,既に読み終わっています。で,疲れた頭のリフレッシュにこちらを読みました。実は,未読でした。
リンクを貼るために捜してみたら,それこそ星の数ほどの翻訳があるんですね。何冊も読んだ訳ではないので比較はできませんが,違和感は感じない訳でした。
この本,子どもの頃伯父さんに勧められた記憶があるけれど,子どもの時に読むのもいいけれど,大人になって読むのもいいものです。子どもから遠ざかってしまった自分を突きつけられて,心が洗われるような感じです。
薔薇と王子さまの関係は,ある意味哲学的な意味合いがあります。物との関わりが物自体の特性や特徴にあるのではなく,その物と自分との関係性にあるという指摘ですね。
なので,王子さまにとっては,羊が何の変哲もない薔薇を食べたという事実が宇宙を変えることになるのです。
「一つの花園で,五千本もの薔薇の花を栽培しているけれど・・・自分たちが何を求めているのかわからないんだね」という王子さまの皮肉は,そのまま現代人にも妥当するでしょう。
イラクで何人が死んだという情報や日本と関わりのある某国で何人亡くなったとか,飢餓で何人亡くなったとかいう情報が素通りしていく。しかし,たった1人の死が,関係性によって宇宙を変えてしまうことをぼくらは果たして気付いているだろうか。
本書を読んで,以前レビューした
「ぼくの「星の王子さま」へ」という本を思い出した。本書の最後のシーンと子どもを失った親が,我が子を星の王子さまに見たてるシーンとがクロスして,胸が熱くなった。
いちばん大切なものは,目に見えない。

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