
「歴史 上」 ヘロドトス著,松平千秋訳(岩波文庫)。
スパルタとアルゴスの戦いは,選抜戦士300名同士の戦いによって決することとされていました。この代表選というのは,実はフェアですよね。
結局,戦いに決着はつかなかった訳ですが。
お互いの国は,臥薪嘗胆とばかりに,アルゴスは,みんなが丸坊主にして悔しさを噛みしめると,これに対抗してスパルタは,みんなでロンゲ(長髪)にして悔しさを噛みしめました。
でも,素朴にロンゲの方が戦いにくそうですね。
リュディア人がさまざまな遊戯を飢えを凌ぐために編み出したというのは,ちょっと面白いですね。食べるのを忘れるぐらい遊びに熱中しながら一日過ごして,翌日に食事を取るという形で飢饉を乗り越えた。ほんとかいな。
確かに,ゲームなんかでもはまると延々とやっちゃうことはありますが,やっぱりお腹減りますよね。また,ポーカーでも麻雀でも,なんかつまみが欲しいなーなんていう雰囲気になったりしそうですね。
バベルの塔についての描写もあります。旧約聖書にも出てくる,高い塔ですね。頂上には寝椅子と黄金の卓があるなんていうのを読むと,登った先はけっこう優雅だったんだろうなー,茶でもすすりながら風を楽しみたいもんだと思います。
アルメニアの結婚が競り売り方式な点をヘロドトスは良い慣習だと褒めたりしています。これだと美女をゲットするには金がかかり,貰い手がいない人には逆に持参金付きで送り出さないといけないことになります。これだけ聞くと人身売買みたいに聞こえるんですが,必ず妻にすることが前提で,折り合いが悪い時には不成立になるようです。
男性バージョンで考えたら,意外にうまく機能したりして。
ほかにも例のごとくいろんな話があります。たとえば,マッサゲタイ人の老後は,みんなに食べられてしまうというもので,そこまでいけば幸せだと見られるとか,神殿で見知らぬ男性と交わるという習慣を持つ国とか,どこまでほんとだったかは不明でも,想像を膨らますと,現代とのあまりに懸け離れた世界ぶりに意外に癒されたりします。
(つづく)

0