「日本 “選挙”」(BS1,10月20日放送)
民主主義シリーズも遂にラスト。想田和弘(日本)監督。SODAさんの作品ですね,実際にはもう少し長いのですが,今回は編集版で本邦初公開ですね。
ちなみに,12月22日には,オリジナルの
DVDが発売予定です(もう予約しました!)。
川崎市議会の市議補欠選挙に自民党の落下傘候補として出馬した山内和彦氏に密着した選挙観察的ドキュメンタリーです。ちなみに,日本の地方での選挙に密着したドキュメンタリーとしては,フランスの
「kimiko-san,campagne a la campagne,une affaire de famille」という隠れた先行作品があったりします(こちらは自民党の候補に挑むという感じで,都会と地方という意味でも本作とは対照的です。)。
さて,山内和彦さんこと山ちゃんですが,どうして自民党から立候補しちゃったんでしょうね。とにかく浮きまくりな印象です。この一種のギャップが(彼なりに一生懸命がんばっているのだが),この作品をユニークなものにしています。
選挙,特に地盤を持つ者が臨む選挙というのは独特のものがあります。今回の選挙では,補欠選挙ゆえに次回の選挙では票を取り合うことになる自民党の市議先生たちが協力をしてくれています。
というわけで,様々な有益なアドバイスをしてくれる訳ですが,これが有り難いような迷惑なような・・・
やっぱり伝統的な価値観を重視する自民党ですから,改革を唱える落下傘候補とはいえ,そう簡単にはいきません。妻ではおかしいから,家内と言えとかいう感覚は,かなりどうでもいいことなんですが,象徴的ですね。しかも,しまいには奥さんは仕事を辞めた方がよいとかいう男女共同参画の時代にはそぐわない助言まで飛び出してきたりします。
どうしても,本当に改革を目指したかったのなら無所属で出た方がよかったんじゃないの,という感覚を持ってしまいましたが,まあそうじゃなかったからこそ,この国の選挙の姿を違った側面から映し出すことができたんでしょうね。
山内さんは,当選を果たしますが,次の選挙には出馬しませんでした。自身執筆中ということですので,できれば選挙だけでなく,議員になってからの生活も読んでみたいなーと思わされました。
このドキュメンタリーで一番寂しかったのは冒頭のシーンですね。何にせよ選挙に無関心というのは,かなり異色な感じがします(特に世界的な文脈で)。
とはいえ,現在の選挙戦における候補者の迫り方はやはり煩わしいでしょうね。
現行の選挙制度をいじって,じっくりと議論をするところを見ることができて,これを有権者がまたじっくりと議論するという習慣を作っていきたいなーと思いました。
その際に重要なのは,俺らの国(私らの国)だから,(広い意味で)政治にも関心を持つぞという姿勢だろうと思います。

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