「黒船」 黒田硫黄著(イースト・プレス)。マンガ。
黒田硫黄の中短篇集。
「大日本天狗党絵詞」は,長編でしたが,こちらは短篇集。特に統一したコンセプトがある訳ではなく,雑多に収録されている(二人のシリーズを除いて)感じ。
冒頭の「わたしのせんせい」のどこに走っていくのか分からない展開は,黒田節炸裂という感じですね。
女学生二人(「自転車フランケン」では,ホステス)が漂う二人のシリーズは,オタクな若者風な空気をうまく再現しています。
ナンセンスな「トゥー・ヤング」は,クスッときたが,あとがきの「二人はまだ若すぎた」というコメントには妙に納得。
「鋼鉄クラーケン」は,帆船物。巨大イカが出てきたりして,何じゃこりゃーってな出来ですね。トレードマークの墨絵風の絵が爆発しています。「象の股旅」は,象使いがアジア象を日本に輸送する話。歴史物になっていますが,著者,象が描きたかったんでしょうね。描きたいものが描けるというのもマンガ家の特権です。
「課外授業」は,コラボ作品ですが,女学生の幽霊にはやっぱり黒田らしさが濃厚に滲み出ていますね。
料理マンガ(!)の「肉じゃがやめろ!」なんかが収録されていると,一段と手作り感がでます。まさにごった煮マンガ本。

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