このオフシーズン、全く動きが無いポジションがOLです。良く考えれば動く必要が全く無い完成されたユニットなのですが、昨シーズン最後の戦いになったNO戦でバックアップの経験不足が露呈しました、経験豊富な中堅を補強すると思っていましたが今の所動きは有りません。
Tra、Jon RunyanのベテランOTコンビは健在です、4,5ミリオンの高給と去年後継者として2巡指名したWinston Justiceの存在でTra放出の噂も有りましたが、今の所その様な動きは全く見られません。RunyanはShawn Andrewsの独り立ちで対面の相手に専念する事が出来た為に4年くらい前のキャリアベストに近い動きを取り戻しました。Traの腰は懸念材料ですが、パスプロテクションの技術はリーグトップクラスを維持していますし、鉄人Runyanは連続スターター出場記録を伸ばし続けています、現役ではBrett Favreに続く2位、歴代でも5位の記録です。怪我さえ無ければ今シーズンも不動のOTコンビになるでしょう。
バックアップのWinston Justice、Pat McCoyの2年目コンビは今年もチャンスを伺いつつ勉強する事になります。パスプロテクションのフットワークではTraを上回るJusticeは欠点のパワー不足をオフシーズンのトレーニングでどれだけ改善してきたのかが2年目の飛躍が出来るかどうかの分かれ道になるでしょう、6−6 320ポンドの割に細く見える(お腹が出っ張ってない事は素晴らしいのですけど)Justiceにはもう15ポンドくらいバルクアップをしてもらいたいと思います。
3年目のTodd HerremansはLTからLGへのコンバートに成功しました、20ポンドのバルクアップでDTと戦うパワーを付けた事が成功の一因でしょう。4巡指名されたルーキーシーズン、フットワークの初歩の初歩からやり直したとは思えない働きをしています。今後は身体的に大きく伸びる事は無いでしょうが、技術面ではまだまだ伸びる箇所が有るでしょう、Traのスピード不足を狙ったDT,DEをクロスさせるパスラッシュに対する対応がもう少し良くなれば完璧なパスプロテクトLGになるでしょう。
ALL PROに選ばれるまでになってしまったShawn Andrewsですが、OL全体の充実で対面だけを見ていれば良い現状に大きく助けられているのは間違い有りません。340ポンドにシェイプアップ出来た事でフットワークは改善されていますが、あくまでもショートエリア限定で隣のOLをフォローするようなサイドステップは持っていません。しかし、340ポンド級のNTでも押し負けないパワーはリーグベストのRGと評される資格は有ります、体重管理を続けられるかどうか、それだけが唯一の課題です。NO戦で痛めた首ですが、脊髄へのダメージは無いようですし大きな心配は要らないようです。
NO戦で経験不足を露呈したScott Youngですが、ウエイトルームではチーム1のパワーと評されます。元々DTでOL経験が少ないYoungは技術面の伸びシロは大きいでしょうし更に良くなる事が期待されます。
1巡指名候補だったものの4巡まで落ちたMax Jean-Gillesは公称350ポンドの体重を落とす事がNFLでプレイする為に必要でしょう。去年のキャンプには345ポンドで来たと公表されたのですが、370ポンドくらい有ったのではないかと疑っています、カレッジでは400ポンドでプレイしていたようですし・・・。本当に340ポンド程度にまで落とした時に真価を発揮してくれるでしょう、フットワークが付いて来ない為にランブロックでDTをホールドする事が出来なかったようです。逆にパスプロテクトではパワーと長い腕でDTを迎え撃ったようです、やはりフットワークの向上(の為のダイエット)が必要です。
OTからG,GからCへとコンバートを重ねたJamaal Jacksonはついに開花しました。330ポンドの規格外のCとしてランブロックの強さを発揮しています。ドライブブロックも得意でMLBを拾う事も出来ますし、330ポンド級のNTと1対1で戦う事も出来ます。パスプロテクトではまだ荒さが有りますが、3−4のNT相手ならばスピードは無いですから致命傷にはなっていません。課題はロングスナップの技術に有ります、ショットガンではLS/TEのMike Bartrumに代わる場面も有りました、安定したスナップを出す事が必要です。
ゴールライン前でFBとしても起用された6−0 350ポンドの豆タンクNick ColeはルーキーFAからロスターを確保しています。カレッジ時代はOTでしたからスナップの技術は有りません(Eaglesのキャンプで初めてスナップしたと言ってました)それでもレギュラーシーズン最終週はCとして無難にこなしたようです。FBに入った時はパワーを活かした突進を見せました、FBのスターターThomas TapehがFB/RBですからゴールライン前専用でも突進力を持っている事はチームを助ける事が出来るでしょう。
若いインサイドとベテランコンビのアウトサイド、スターター5人は全員水準以上の実力者です。バックアップの層の薄さは気がかりですが、上位指名の素材がチャンスを待つ形になっています。若い力を加える必要は全く有りません、出来るならばCの経験が有るGを1人加えた方が良いでしょう。Jacksonが怪我をした場合や雨天時のロングスナップなどで交代できる経験を加える事が必要ですが、FA戦線も片付きつつありますし若手の成長を待つ事になるのでしょう。Traの腰、Jacksonの腕(2度腕の筋肉を痛めてシーズンエンドになっています)そしてAndrews,Gillesの体重管理と健康面での不安は有りますが、健康ならばリーグトップクラスのOLと評価できます。バックアップ陣の成長が見られれば更に良くなる可能性を秘めた素晴らしいユニットです。