職場によくヘビが出る。
その多くはヤマカガシである。
五百川駅から職場へ行き土手道にもヤマカガシが多い。
写真は職場内の水路を泳ぐヤマカガシ。
ところで、ヤマカガシは毒蛇だという。
しかし、子供の頃、ヘビで遊んだことがある人たちは、毒蛇だということを知らない人が多い。
うちの科長は、
「ヤマカガシを首にまいて遊んだけど、毒蛇だとは知らなかった」
彼はまだ40代前半である。
そんな折、職場の近所の子供がヤマカガシに咬まれて病院に担ぎ込まれた、という話を耳にした。
その子は、福島虫の会のジュニア会員である小学校4年生。
毎日、虫や生き物のことばかり考えているような子である。
ヤマカガシは毒蛇だといいながら、実際に咬まれた人に会ったことがなかったため、いつかは話を聞きたい、と思っていたところ、彼に会う機会に恵まれた。
先日のセンター祭りに来てくれたのだ。
以下は、彼と彼のお母さんから聞いたヤマカガシに咬まれた時の顛末と症状である。
家の近所でヤマカガシを見つけ、友人2人がちょっかいを出して遊んでいた。
彼が手を出したところ、怒っていたヤマカガシが、左手の中指に噛みついた。
指だったことと、子供で指が細かったことで、みごとに深く噛みつかれた。
指にヤマカガシがぶら下がるほど深く咬まれ、それを見た友人達は、
「俺、帰るから」
「じゃ、あとはよろしく」
と逃げるように帰ってしまった。
その後、指には穴がいくつか開き、血が出て来た。
その血が、止まらず、かなりの量がいつまでも流れ続けていたため、近所の家に駆け込むと、そこのおばさんが、ヘビ図鑑を片手に、「処置法」を実践してくれ、血をとにかく水で流し続け、腕をしばってくれた。
騒ぎを聞きつけた近所のおばさんたちは、現場でとぐろをまいていたヘビを見つけ、携帯で写真を撮る。
彼のお母さんが駆けつけると、彼の腕と顔は真っ白だったという。腕が腫れたりということはなかったという。
救急車を呼ぶと、
「何ヘビにかまれたのですか?」
これには、近所のおばさんが撮ってくれた写真が役立ち、すぐにヤマカガシとわかった。
毒の専門医がいるという市内の総合病院へ運ばれ、尿を取ると、尿には血が混じっていて真っ赤だったという。
その後、点滴を受け、なんとか回復。
処置が悪く、もう少し遅いと、集中治療室行きか、最悪は死に至っていたとか。
先生の話によると、マムシは1000人に1人が死ぬが、ヤマカガシは10人に1人が死ぬという。
咬まれた傷口としての痛みしかなく、腫れたりしないことから、対応が遅れることがあるという。
なお、治ってからも、万全の体調というわけではなく、朝起きると、鼻血で布団が真っ赤になっていたり、体育の授業の時、ふらふらして座り込んでしまったり、ということがあるとのこと。
病院での検査では、もう血液中に毒はないそうだが、一筋縄ではいなかいようだ。
この話をしてくれたI君、おもしろおかしく話してくれた。彼のお母さんも、携帯に咬まれた指の写真が保存されていたりと、なかなかである。
幸い、大事に至らずにすんで本当に良かったけど、彼には、武勇伝がひとつ増えたことになるのかしら?

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