こころの垣根  林とこころ

「逝きし世の面影」580pの最終章のテーマは「心の垣根」だった。幕末から明治にかけて訪日した異人たちが、江戸や長崎でふれた日本の庶民世界は結局なんだったのか。西洋の異人たちは、西洋的な心の垣根の高さにしばしば疲れをおぼえ、かたやの日本の庶民社会の垣根の低さを絶賛したが、「それが高いということは個であることによって、感情と思考と表現を人間の能力に許される限度まで深め拡大して飛躍させうるということだった」(渡辺京二)。「そういうこの世界が可能ならしめる精神的展開がこの国(日本のこと)には欠けている」と異人たちは感じた。
 それが市民社会の形成の過程で、ルールや慣習や法律、社会の仕組みに反映されてきたのだ、それが市民社会の成熟だ、ということか。西洋の確固たる個の自覚と、日本の、当時の垣根の低い庶民ののどかさ気楽さとつながりというソーシャル・キャピタル。現代は人々のシアワセを約束した後者をこそぎ落しながら個へ舵を切って進んでいる。渡辺のこのしめくくりは、なるほど、古い世の面影は「逝って」しまって後戻りしないのか、という物思いにふけさせる。考えさせられる1冊だった。感謝、合掌

雑木林&庭づくり研究室
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