■ 子供のころは
誇大妄想に近い夢を描いても,それが実現できない不安なんかなかったですし,人並みの生活も送れなかったらどうしようという不安もありませんでした。現実検討能力がない夢の時期といってしまえば,それまでですが,考えるだけで,何からしら心が温かくなる夢がありました。
■ 不安の発生
しかし,遅くとも十代も後半に入ると,受験に失敗したら……,就職できなかったら……,資格がとれなかったら……。悩みの種は尽きなくなります。もう子供じゃないが一人前の社会人じゃない。でも,人に認められる(自分が認める)一人前の社会人になりたい。そして,努力する中で,自分の能力の限界を感じるようになります。
いしわたは,実は,当初,パイロットになりたかったのですが,視力が1.0を切った段階で,職業人としてのパイロットの道が閉ざされました。当時も,採用身体基準が裸眼視力1.0以上でしたから。
次に,フォーク歌手になりたくなりましが,長く練習しても,ギターの演奏力はある段階で上限に張り付いたままとなり,己の才能のなさを自覚せざるを得ませんでした。友人の演奏の方が,いつもメチャンコうまかったからです(彼は今プロとして活躍しています)。
■ 不安の解消に向けて
珍しく,いしわたは,不安の解消に向けて,一生懸命フォークギターの練習をしました。指にタコができたのは当然でしたし,ツメが厚味を増したくらいです。これでデビューできれば,刻苦奮励道徳教科書モノですが,世の中そんなに甘いものではありません。才能のない人は,いくら努力しても限界があるのです。水泳が好きで十何年続けても,誰もがオリンピック級になれないのと同じです。
とすれば,次は,挫折が襲ってきます。このウン年間の努力や練習はなんだったんだろう……。大事な人生の貴重な時間を無駄にしたのではないか……なんてね。
■ 挫折と人生
そんな挫折が思春期〜青年期に訪れると,凹むどころではないし,失恋をが加われば,止めを刺されます。実際,マジそうでした(苦笑)。次々と人生の夢を奪い取られると,人間,誰でも辛いものがあります。
溺れる者は藁をもつかむの類で,偉人伝,経営者評論(ミニ偉人伝の位置付け)をむさぼるように乱読した記憶があります。人生の成功の秘訣,それも,今までの無駄をなくして,成功するヒケツを最初から知りたかったからです(一種のマニュアル思考で始めたことを告白します…笑…)。
すると,不思議なもので,偉人とか当代一流の経営者という方々は,みな若いときから挫折を経験しているし,人生の夢を変えざるを得なかったということでした。
挫折に関しては
挫折を知らない人は成長しない
挫折は人生の肥やしである
とう言葉が,今でもすぐに出てきます(出典調査中)。
■ 夢の転進
また,その道の権威や成功者と言われる人たちも
アインシュタインは司法試験不合格
チャーチルの処女作は「読むに耐えない」とボツ
某著名な起業経営者は30代でリストラ&離婚
ということを知りました。
つまり,挫折して人生の夢を変えることは,いいことかも知れないのです。
■ 複線複眼思考
ひるがえって,思い込んだら一本道というのは,日本人のメンタリティーには何故か感じるものがありますが,現実にはそんなストイックは,そうそうないのであって,身近なものでは,甲子園を目指す高校野球やオリンピックを目指す運動選手くらいでしょう。
むしろ,われわれ一般通常人は
こういう仕事につきたい
こういう人と結婚したい
こういう所に住んでこんな家が欲しい
この趣味を続けて皆で楽しみたい
と様々な雑多な夢の集合体であると思います。
また,仕事と人生に限っても
アルバイトで生計を立てて,次々高峰登山に行く人
仕事は生活の手段と割り切って,家庭生活を大事にする人
家族には多少の苦労をかけても,仕事で社会貢献したい人
と様々ですし,その考え方だって不変ではなく,リストラを契機に,仕事と家庭の優先順位を入れ替えた方なんかは,むしろ増えていると思います。
むしろ,人生の夢や希望なんかは
複線思考・複眼思考で行こう
という方がいいように思いますし
人生は 単線ではありません
複線もあれば分岐点あります
という目で見ていいのではないかと思います。
■ 最近の危険な傾向
遊びや趣味のライセンスなら,友達や恋人に罪のない自慢や話題を提供するだけで実害はありませんが,職に関わる資格・ライセンスには,最近,危険な傾向を感じます。
典型例は,「臨床心理士」を取得する大学院修士課程の乱造と「新・司法試験」の「受験資格」となる「ロースクール(法務大学院)」の乱造です。前者は,既に需要の飽和点を突破した大学院生を抱えていますし,後者も,将来の司法修習生3000人枠の数倍の大学院生を抱え込む計算となります。
特に前者は,受験で簡単に合格できる大学院も多く,就職に際しては,出身大学院(指導教授)でフルイにかけられて,就職活動でホゾをかむ人が多くなることが予想されます(悪友の精神科医の話)。
後者は,合格するだけでも大変ですが,合格して卒業しても,新・司法試験の受験資格が得られるだけで,必ずしも合格できるほど簡単な試験ではないし,現在の枠組みでは3人に1人しか合格できなくなる可能性があります(現在喧々諤々の議論中)。
この先例は,昭和後期にあった大学院乱造でした。日本の技術力や学力を向上させるためと称して,全国の大学に続々と大学院を作ることを許可しましたが,大学教授や研究者のポストは需要に応じて一定しかないため,就職できない,ポストドクターや修士が巷に溢れ,終了を躊躇するオーバードクターやオーバーマスターを大量生産してしまいました。
50代で「助手」にしかなれず,その鬱積から殺傷事件を起こす方まで現われたのは,エポックメーキングだったかも知れません。
キツイようですが
資格は夢を開くが 必ず開ける分けではない
簡単にとれる資格は役に立たないことが多い
ということを知っておいた方がいいかもです。

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