「ソニー ポータブルMDレコーダ MZ-R910 録音に関する不具合の修理」
ハード改造・修理
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ソニーのポータブルMDレコーダ MZ-R910は
kakaku.comのクチコミなどをみてみると、データが勝手に消去されるなどの故障事例が書かれています。今回この機種の修理依頼が来て、試しにいらないMDの1曲目を消去したところ、そのディスクはTOCエラーが出て使用不能になってしまいました。
分解してみると、MOなどの相変化型ディスクなどにもみられる特有の磁気ヘッドがあり、これを接続しているフレキが断線していました。
写真1 MZ-R910 トラバースデッキ(ピックアップユニット)外観

※ちなみにこれはフレキが切れてないふうに撮影したもの。実際には切れてる
写真2 フレキ断線の様子

写真3 フレキ断線の詳細

フレキがぶっちぎれて、カバーレイのフィルム(ポリイミド、黄色、絶縁被覆)が剥がれています。普通は屈曲試験とかするもんなんですが…。
耐久性やフレキの屈曲特性を全く考えていない設計不良とみられ、対策された部品でない限り純正部品を取り寄せて使うとまた断線するので、フレキはショートしないように処理してから、ジャンパーをして接続することにしました。
なお、対策品などは出ているかわかりませんが、おそらくソニーのことだから出してないのではないかと。修理のお知らせどころか製品情報も無いし。
●追加情報
ちなみに保守部品は
これらしい。見た目、断線対策されてない様子。
型番:X-3382-948-1
名称:OPTICAL PICK UP ASSY/LCX-5RV
ヒカリピックアップASSY
MZ-R900,MZ-R909,MZ-N1などと共通と書かれているが詳細は不明。
ヘッドは写真でいうと上下方向に移動するので、それを阻害しないように断線したフレキに代わる線を再配線してやらなければなりません。屈曲性がよく、しかも断線しにくく、滑りの良い絶縁被覆の細い線を使用し、余裕を持たせた長さで、かつ絡まないように配置する必要があります(写真4、5、6は再配線後の様子)。
まず、基板から伸びているフレキはもう使わないので取り外し、ヘッド側のフレキは適当な長さで切断後、端面は念のため絶縁テープなどで絶縁処理します。次にフレキのカバーレイを削って配線を露出させ、代わりの配線をはんだ付けします。はんだ付け部分は強度が弱いので、
ホットボンドや(ホットボンドはものによって耐熱性に問題があるので使わない方がいいかも)エポキシ樹脂で断線しないように補強します。
磁気ヘッドから出ている線は2本だけです。念のため極性を間違えないように配線します。間違えても影響があるかわからないけど。
引き出した配線は、写真7の場所に接続します。下のフレキは邪魔なのではずしてしまいます。
写真4 再配線 線の引き出し

写真5 再配線 線の引き回し ヘッドの最外周位置付近

写真6 再配線 線の引き回し ヘッドの最内周位置付近

写真7 基板側 フレキの接続先

この状態で試しに使用不能になったディスクの録音・消去を行ったところ、正常に出来るようになりました。
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