先週出たアメリカ水産学会誌の論文,Modeling the Responses of Alligator Gar Populations to Harvest Under Various Length-based Regulations: Implications for Conservation and Management.著者は,Nathan G. Smith, Daniel J. Daugherty, J. Warren Schlechte & David L. Buckmeier.
内容は,遊漁の規則,特に釣獲体長制限下でアリゲーターガー個体群の応答を本種の保全と管理の視点から見たもの.アリゲーターガーは,米国では遊漁利用されている.しかも結構人気があるらしい.そのため,個体群管理への関心は大きい.にもかかわらず,釣獲圧に対する集団の応答はほとんど理解されていないままだ.ガーの遊漁規則は国内でもまちまちだが,基本的にはクリールリミット,つまり1日の釣獲尾数制限が一般的だ.そこで,著者らは,(1)釣獲圧が個体群レベルで及ぼす影響,それに(2)釣獲にあたって体長制限規則がどのように影響するかを評価した.
モデルではテキサス州内のガー個体群を対象として,トロフィーサイズの大型ガーの個体数,個体群サイズ,それに産卵潜在能力比(SPR)および将来100年間の釣獲量を推定している.シミュレーションの結果,アリゲーター・ガー個体群は遊漁利用に非常に敏感に反応することがわかった.釣獲した個体のうち7%をキープすれば,個体群は50%減少し,わずか3%のキープ率(収穫率)でトロフィーサイズのガーは半減する.釣獲体長制限規則がない場合,収穫率が6.5%を超えれば,稚魚の個体群への加入が阻害される.トロフィーサイズのアリゲーターガー遊漁を維持したければ,今後は釣獲体長制限規則が有用であり,その結果,将来釣り人がこういった大型のガーを釣り上げ,さらには収穫することも可能になる.