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2011/1/14

K君  

人生には幾多の出会いと別れがあります。

今日も一つの「別れ」がありました。

当社が材料や加工をお願いしている某業者の営業担当者「K君」が、担当地区変更のため今日で最後との事。
取引業者の営業担当者が変更になる事など、別に特別な事ではありません。
毎年担当を代えるのが規定になっている企業もあるでしょう。
今回のK君の場合も、単なる担当変更って事なんでしょうが、私の個人的な気持ちとしてはかなり残念な事です。

私は設計の仕事を担当しているため、多くの材料業や部品加工業の営業の方と応対します。
その営業の方々と比較した場合、K君の営業マンとしての技量は、最低ランクに位置します。
営業マンと言うよりは、御用聞きと言った方が良いでしょう。
K君に対して苦情や文句を言ったことも、数え切れません。

ですが不思議な事に、私が最も信頼しているのはK君です。
理由は言葉では上手く説明出来ませんが、あえて表すとすれば「人間性」です。
多くの営業マンは、当然自社の商品を売り込む営業をします。
そして、私の機嫌を損ねるような発言をしないように、言葉を選びながら営業活動をします。
ところがK君は自分の思った事をストレートに発言します。
勿論、彼なりに言葉を選んでの発言なんでしょうが、ほとんどブレーキを踏まず私にぶつけてきます。
その結果、私が怒るかもしれないという事も、ある程度承知の上での事でしょう。

どんな職業でも同じだと思うのですが、物事の決断をするのは人です。
化学や技術が進歩しても、人が決断し行動して初めて実行されるわけです。
この「決断」する時の「理由」も、値段、品質、納期など、どの部分を重視するのかは人それぞれです。
私の場合は、「決断」する時に最も重視するのは「人間性」です。
値段、品質、納期などよりも、「この営業マンと仕事をしたい」と思わせる「人間性」が一番重要になります。
K君は「私はこういう人間なんです」って感じで、自分をアピールしています。
本人はそんな事全然意識していないでしょうが、私は彼からそういうものを感じ取りました。

2年くらい前の事ですが、頼んでいた品物が不良品だった事がありました。
その時のK君の取った態度と言動に対して私は非常に腹が立ち、彼の会社に電話をしました。
電話に出た女性社員に「あいつは何だ!俺をなめてるのか!」と大人気ないクレームをしました。
その女性社員は「なめてなんていませんよ。彼は少し不器用な性格なんです。長い目で見てあげてください」というような内容の事を私に言いました。
彼女にしてみれば単なるクレーム処理の対応なんでしょうけど、私は彼女から何か重要な事を教えてもらった感じがしました。

その日以降も、彼自身はマイペースで私に接して来ました。
加工ミスが出ればこの世の終わりかと思うくらい私も彼を怒鳴りますし、私の図面ミスの時は彼から猛反撃を喰らいます。
夏の暑い日、私が冷えていない缶ジュースを彼に渡しましたが、「暑いので冷えてるの下さい」と言われました。
材料屋や部品加工屋の営業マンに、こんな事を言われたのは後にも先にもK君だけです。
他の人から見れば「なんて図々しい奴だ」と思うかもしれません。
ところが私は、ここまでストレートに人間性をぶつけてこれるのは素晴らしいなあと思いました。
「K君となら良い仕事が出来るだろう」と意識したのはこの時からだと思います。

私も出来ることならばK君とこの先も仕事をしていきたいのですが、彼の会社の方針なので残念ですが仕方ありません。
今まで彼に対して無理難題を要求したり、怒鳴り散らしたりと、今考えれば申し訳なかったなあと思います。
担当地区が変更になり大変だとは思いますが、めげずに頑張って下さい。
そして、いつか再び一緒に仕事が出来る日が来た時は、「おっ、営業マンとしても成長したな」って思えれば嬉しいですね。

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